ものづくりのノウハウを蓄積・利用する「指南車」がバージョンアップ

熟練技術者のノウハウを蓄積・利用するトヨタケーラムの「指南車」がバージョンアップした。GUIを全面改良し、オフラインでも利用できる。

» 2007年09月20日 19時34分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 トヨタケーラムは9月20日、熟練技術者のノウハウ継承を目的としたソフトウェアの最新バージョン「指南車 ver 2.0」を公開した。10月上旬に発売する。

 指南車は、熟練技術者の持つノウハウの伝承を目的に、経済産業省の「デジタルマイスター・プロジェクト」の一環として松下電器と共同で開発された。2004年2月に発売され、これまでマツダや三菱重工、三井造船など製造業を中心に596社で採用されている。

 トヨタケーラムは、トヨタ自動車のCADシステム開発部門として発足し、1993年に分社した。CAD/CAM(Computer Aided Manufacturing)の大手ベンダーとして、システムの開発・販売を行っている。

 前田克己取締役システム開発部長は、「団塊の世代が一斉退職する2007年問題、2010年問題では熟練技術の継承が大きな課題となっており、指南車はこの課題に対応するために開発した。最新版はGUIの全面改良でノウハウを蓄積しやすいように操作性を改良し、蓄積したノウハウをオフライン環境でも利用できるよう利便性も高めた」と最新版の狙いを説明した。

 最新版では、まず複数に分かれていた業務手順をデータ化するフローチャート作成や、チャートごとの内容を作成するダイアログエディタ、共有データの管理、テンプレートデータなどのウィンドウが1つのウィンドウに集約され、各機能をタブ操作で切り替えながら利用できるようになった。

 また、フローチャート作成ではマウスの右クリックで操作する必要があった内容の指定がアイコンでも行えるようになり、直感的に操作できるという。

ダイアログエディタの画面。プレゼンテーションのデータを作成するような感覚で、PC初心者でも自己の持つノウハウを“見える化”できる

 ダイアログエディタでは新たにプレビュー機能が搭載され、常に作成内容を確認しながら作業できるようになった。これらの機能改良により、従来のバージョンに比べてノウハウデータの作成工数が2割〜5割程度削減できると同社では説明している。

 指南車は、技術ノウハウのデータ化およびデータを利用するクライアントソフトウェアの「指南車知識クライアント」、DB管理用のサーバソフトウェア「指南車サーバ」(DBはOracle 10g)で構成されるが、最新版ではランタイムクライアントソフトウェアが追加された。

 これにより、ランタイムクライアントがインストールされたPCでは、あらかじめ指南車サーバから必要なノウハウのデータをダウンロード保存しておくことで、オフライン環境でも指南車を利用できる。設備の管理・保守業務やネットワークへの常時接続が困難な場所での業務に指南車を活用できるという。

 ライセンス体系は、PCクライアント数ごとの「指定ユーザーライセンス」と1台のクライアントPCで利用できるユーザー数ごとの「フローティングライセンス」の2通り。価格は、指定ユーザーライセンスの場合でサーバソフトウェアが200万円から、クライアントソフトウェアが100万円から、ランタイムクライアントソフトウェアが5万円からとなる。

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