現場カイゼンは若手が担う――下流工程のエキスパートを自覚させる“若葉マーク”社員を活性化させる「実感主義」の育成戦略(1/2 ページ)

若手社員が現場で取り組んでいる仕事は本当に「替わりの人間がいくらでもいる」仕事だろうか。上司も若手社員本人も気づかないが、実は現場のロスを改善するヒントを多く含んだ仕事なのかもしれない。早く卒業したい仕事をもう一度振り返る意義は大きい。

» 2007年02月19日 09時00分 公開
[アイティセレクト]

若手を現場改革の再前線に

 若いというだけで、タフだという保証はどこにもない。現場の仕事に忙殺されはじめると、経験のない若手ほど、自分を見失いがちだ。そこで、現場から切り離し、新しい技術や考え方を研修で学んでもらうことによって、心身ともにリフレッシュさせ、「成長している実感」を持たせる方法を選ぶ企業もある。(参照記事)

 それにしても若い社員とはいえ、こうした研修には100名以上の人間が参加するというから、猫の手も借りたい現場からは苦情が出るのではないかと心配になるほどだ。日本総研ソリューションズの技術本部、研修部の富永美好氏は「3年目までの社員が参加するとなると、相当な規模になります。ただし研修期間中はできるだけ研修に集中してもらうようにしています。中途半端にならないように、気持ちを切り替えてもらうことが大切ですね」と語る。

日本総研ソリューションズ 富永美好氏

 研修は1年目の若手は6カ月半、2、3年目はそれぞれ1.5カ月ほどの期間があてられる。1年目の人の場合例えば3.5カ月を連続で行い、少し間を空けて3カ月通してというパターンなどが通例だという。現場での仕事でも戦力になりつつある2、3年目の若手は、数週間ずつの期間に区切って行われる。

 フルタイムで研修に取り組むというのは、それまでの日常から隔離されるということだ。数名でチームを組み、リーダーなどの役割を決めて、数日間目標に向かって没頭することは、きつい作業だが、確実にリフレッシュできるだろう。

 同社の研修では1年目、2年目、3年目ごとに目標が設定されている。座学ではなく、マシンを使いながら成果を出す実作業が中心だ。ここでは新しい技術やノウハウが紹介され、それを活用しながら課題をクリアしていくことが重視される。

研修カリキュラム例

 同じく研修部の安藤学氏は「まず現場から離れてもらおうということです。そして研修で学んだことを現場にフィードバックしてもらえるようにする。若い社員が何か言ってもなかなかすぐには取り上げてもらえないかもしれませんが、十分現場で生かせることを学んでもらっていると考えています」と話す。

 つまり研修は若手自身をリフレッシュさせるだけでなく、仕事の現場を変える目的も担っているということだ。若手社員が現場に戻り、少しずつでも、研修て゜学んだ新しい技術を活用していき、より効率手的なプロジェクトマネジメントが実行されることを狙っているのだ。

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