特集
» 2007年10月19日 09時30分 UPDATE

人心掌握の鉄則:「殺し文句」よりも視点を変えるきっかけを

部下のモチベーションを向上させる言葉を選ぶとき、参考になる各界著名人の金言をピックアップした。言葉そのものはシンプルだが、多くの意味を含むものばかりだ。

[アイティセレクト編集部]

本記事の関連コンテンツは、オンライン・ムックモチベーションコントロールに役立つ人心掌握術の鉄則でご覧になれます


分かりやすい言葉に「隠し味」

 スポーツの世界での金言は、やはりシンプルな言葉が多い。しかしその言葉を行動に移そうとすると、内容の深さに気づく、という隠し味がある。

やるだけやって負けるなら、胸を張って帰れるはずだ──サッカー日本代表監督 イビチャ・オシム

 オシム語録は多い。選手のモチベーションアップに関しても次のような発言をしている。

 「モチベーションを高める方法なんて何千通りもある。それぞれ違うのだ。まずは自分たちのために、自分にできることをやりきるということが大事だという話をする。次に、対戦相手が自分たちと試合をするにあたって何を考え、臨んでいるのかと考えさせる。そういう話を私はする」

 ついつい、簡単なノウハウを会得してモチベーションを上げようとする安易さに警鐘を鳴らす指摘とも受け取れる。方法はいくらでもある、問題は方法を生み出す考え方なのだ。やるだけやって、という言葉は重い。どこまでやれば、「やるだけやった」ことになるのか。それを考えさせるきっかけにもなる。

打てなくて使わないのではない。お前が、いい打者なのはわかっている。それよりも、守備に集中する姿勢を、練習から見せてほしいんだ──原 辰徳

 巨人軍監督、原辰徳氏が、成績が低迷していた外国人野手に告げた言葉。このひと言で、それまで守りに無関心だったその選手が変身したという。まず自分のことを認めてくれているという実感が、部下の行動の変化につながる。「見せてほしい」という表現がポイントではないだろうか。「守備練習をしろ」「守備練習をしないからダメなんだ」とは言わず、「姿を見せてほしい」という相手に委ねる表現が、モチベーション向上に大きく影響する。もちろん言われた選手は、漫然と守備練習をこなすはずがない。姿勢を見せるために熱を入れて取り組む。

視点の変換をうながし余裕を与える

 ビジネスの世界では「視点の変換」と「癒し」を含む金言が多い。考え方、ものの見方を変えれば、新しい発見があり、余裕と意欲がわいてくる。

失敗は自分の将来に対する投資だ──カルロス・ゴーン

 日産自動車の3カ年経営計画「日産180」(全世界での売上台数100万台増加、8%の営業利益率達成を目指したもの)の半ばに発せられた言葉。週刊誌の取材に答えてゴーン氏は「私も挫折の経験をしたことがある。しかし必ず、なぜ失敗したかを振り返ってみた。その時間をちゃんと取ることだ。次は、自分はもっと強く、賢く、思慮深く、素早く対処できるようになっているだろう。まわりの人間を見る目も、選択する目も変わってくるだろう。失敗は教訓を学ぶ機会なのだ」とも語っている。ここは、「投資」という言葉がポイントだろう。「失敗を引きずるな」というだけでなく、マイナスの出来事が「投資」という言葉で、プラスの発想をうながしている。小さな失敗、挫折でも、意外と引きずっていくケースがある。過去の過失にこだわって、前を向けないタイプの部下には、モチベーションを無理やり上げようとするのではなく、まずマイナスの経験のとらえ方を説く。

ゆっくり行けば、遠くまで行けるよ──伊藤 守

 日本におけるコーチングの草分けである伊藤 守氏(株式会社コーチ・エィおよび株式会社コーチ・トゥエンティワン代表取締役ほか)が、部下であり国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチである、あべまさい氏にかけた言葉。この言葉を受けた時期、あべ氏は多忙を極め、成果を出すことに意識が向かいすぎていたという。やんわりとした言葉で、前のめりになっている部下に大切なことを気づかせる。何気ない発言だが、かなりの高等戦術。本来、ゆっくり行くことなどできないのが、多くのビジネスの現場である。その繁忙の中で「ゆっくり行こう」という気持ちを抱ける瞬間をどれだけ増やせるか、ということなのであろう。自他ともに認める「切れ者」の部下には効果的かもしれない。

月刊アイティセレクト」2007年11月号 特集「モチベーションコントロールに役立つ 人心掌握術の鉄則」より)

Copyright© 2011 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Loading

ピックアップコンテンツ

- PR -

注目のテーマ