インフォーマルな集団を作る「シャドーワーク」が注目されている。「影の仕事」をオモテに活かせる仕事師こそ「プロデューサー型社員」だ。
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企業内のフォーマルな組織やプロジェクトではなく、それらに縛られないインフォーマルな集団の独自活動をシャドーワークと呼び、それが商品やサービスの開発に大きな力となるケースが増えているという。参照記事
今、組織に求められているのは「プロデューサー型」社員だという。シャドーワークはまさにこの「プロデューサー型」社員のパフォーマンスの源泉だ。
シャドーワークは会社が作り出すものではない。
「わが社はこれから、シャドーワーク推進委員会を立ち上げ、社員の積極的な組織横断的活動をバックアップする」という掛け声を上げた瞬間に、その仕事は「シャドー」ではなく、オモテ側の命令された仕事になってしまう。シャドーワークは、会社から命令される仕事ではない。嫌がる人間に「この仕事はどうしても君にやってもらいたい、業務命令だ」というのは通用しない。
では、シャドーワークは誰が作り出すのか。それはプロデューサー型社員と言われる人たち、もしくは、そうした働き方、ワークスタイルが身についている人たちだ。
ワークスタイルにはいろいろな種類があると思うが、単行本「シャドーワーク」でも紹介されている4つのワークスタイルの種別には、なぜか「なるほど」と思わせる説得力がある。
ここで紹介されているのは、「御用聞き型」「社内調整型」「社外嗜好型」「プロデューサー型」というもの。これによるとワークスタイルを決定付ける行動パターンが2つあるという。「社内コラボレーション行動」と「社外パートナーシップ行動」というものだ。
単行本「シャドーワーク」の著者の一人で、フライシュマン・ヒラード・ジャパンのパートナー、シニアバイスプレジデントの徳岡晃一郎氏は次のように語る。
「『プロデューサー型』は社内コラボレーション行動も社外パートナーシップ行動もポテンシャルが高いわけです。バランスも取れている。私たちが行った調査でも、経営層が求めているのは『プロデューサー型』です。新製品を開発したりなど、大きなことをどんどんやってもらいたいという意味だけではありません。日ごろの業務の中で問題を解決していく際、狭い組織の中にリソースを求めるのではなく、社内外の豊富なリソースから、問題解決に当たっていくタイプの社員が求められているわけです」
問題解決能力はかねてより組織人に対して最も求められている能力の1つだが、「プロデューサー型」社員はまさにこうした能力を最大限に発揮する人物だと言えるかもしれない。
シャドーワークは、多くの有名企業で実践されている。しかし、大切なのは、シャドーワークが目的ではなく、「プロデューサー型」社員の育成にあると考えるべきだろう。
「プロデューサー型」社員は自然体の姿勢でシャドーワークを実践していく。起こっている現象、結果を見て「わが社でもシャドーワークを実践しよう」と呼びかけるのではなく、自社にとって「プロデューサー型」社員というと、どんな行動をする人物なのか、と考えていったほうが良さそうである。
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