VMwareによると、ESX ServerはMicrosoftのHyper-Vよりも優れた製品だという。
Microsoftがハイパーバイザーベースの仮想化技術である「Hyper-V」の公開β版のリリースを発表するや否や、VMwareは反撃を開始し、自社の「ESX Server」の方が優れた製品であるとアピールした。
VMwareの製品マーケティング担当シニアディレクター、ボゴミル・バルカンスキー氏は米eWEEKの取材で、「Hyper-VはMicrosoftのハイパーバイザーであり、ESX Serverは当社のハイパーバイザーだ。しかし新たに発表されたβ製品と、何年も前から提供されている当社の製品を比較できるとは思えない」と述べている。
「ユーザーは仮想化製品に対して安定性、成熟性、堅牢性、復元性を求めている。われわれには全世界の実運用環境でそれを実証してきたという強みがある。ユーザーはESX Server上で基幹業務アプリケーションを運用している」とバルカンスキー氏は話す。
「これに対してMicrosoftは、VMwareが市場に製品を投入してから7年後に自社の第1世代のハイパーバイザー製品の公開β版を発表した」と同氏は話す。ユーザーはハイパーバイザーだけを求めているわけではないという。ハイパーバイザーは、サーバを複数の仮想マシンに分割するソフトウェアである。
Microsoftは、当初の計画を前倒しして12月13日にHyper-Vの公開β版をリリースした。同社によると、「Windows Server 2008」を製造工程向けにリリースしてから180日以内にHyper-Vを出荷するという計画は順調に進んでいるという。Windows Server 2008は、2008年2月27日のローンチイベントの前に製造工程向けにリリースされる予定だ。
バルカンスキー氏によると、ユーザーはハイパーバイザー上で提供される機能も求めているが、Microsoftの製品にはそれが欠落しているという。ユーザーが求めている機能としては、マシンの自動再起動、物理サーバのプール全体で仮想マシンの負荷を自動的に分散する機能、仮想マシンを稼働させたまま物理サーバ間で移動する機能(ライブマイグレーション機能)などがある。現在、VMwareの顧客の60%以上がライブマイグレーション機能を利用しているという。
「こういった機能は、ユーザーが仮想化のパワーを活用してIT環境を最適化する可能性を生み出すとともに、ユーザーのIT環境の可用性、復元性、管理性を高めるものである」と同氏は語る。
Microsoftで仮想化戦略を担当するゼネラルマネジャーのマイク・ニール氏は、バルカンスキー氏が指摘した点についてはコメントを控えながらも、同社はVMwareがHyper-V製品を強く意識しているのを喜んでいるとeWEEKに語った。
「Hyper-Vは、すべてのユーザーが利用できるエキサイティングでユビキタスな技術だ。Hyper-VがOSの重要な一部分であるのもそれが理由だ。このβ版では、Hyper-Vは広範なユーザーが評価できる状態に仕上がっている」とニール氏は話している。
これに対してバルカンスキー氏は、MicrosoftがHyper-Vを開発している間、VMwareは技術改良を進め、仮想化分野でのリードを拡大してきたと反論する。
同氏によると、VMwareの次世代のハイパーバイザーアーキテクチャ「ESX Server 3i」はハードウェアに統合されたハイパーバイザーで、次世代のシンアーキテクチャをベースとし、汎用OSに依存しない。このため、信頼性をめぐる多くの問題やセキュリティの脆弱性が解消されるという。
この新しいサーバ技術では、フットプリントも汎用OSよりもはるかに少ない32Mバイトと大幅に減少している。その結果、攻撃対象となる部分が少なく、セキュリティの強化、ユーザーアクセスコントロール、ウイルス対策、バックアップといったタスクに掛かる労力も軽減する。
ESX Server 3iはサーバシステムに組み込むことができ、既にすべての主要サーバベンダーが各種のサーバ製品ラインに同ハイパーバイザーを組み込むことを約束しているという。「2008年初めには、これらのサーバの最初の製品が製造ラインから出てくると予想している。これは、Windows Server 2008やHyper-Vがリリースされるずっと前だ」とバルカンスキー氏は話す。
さらにESX Server 3iは、x86ハードウェア上で動作する各種OS(Windows、Linux、Solarisなど)をサポートする。「当社のESX Serverハイパーバイザー製品ではWindows OSが非常にうまく動作することが実証済みであり、これについては7年間の実績がある」(同氏)
MicrosoftはHyper-Vサーバもリリースする予定だ。これはスタンドアロン製品で、ユーザーは1台の物理サーバ上でワークロードを仮想化することができる。小売価格は28ドル。ESX Server 3iもスタンドアロン製品として購入することができる。価格は2 CPUに付き495ドル。
VMwareでは、最近リリースされた既存製品の「ESX Server 3.5」も引き続きサポートする方針だ。同製品は当分の間、ESX Server 3iと共存する形になる。
ユーザーが仮想化を利用する目的は、インフラの全般的コストの削減、管理の簡素化、可用性と復元性の改善などさまざまである。「われわれはこれらすべての機能を提供しており、今のところ、そして今後当分の間、VMwareはWindows OSを動作させることができる唯一の安全な場所だ」(バルカンスキー氏)
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