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» 2008年01月01日 00時00分 UPDATE

日本のインターネット企業 変革の旗手たち:顧客至上主義を貫き通すためのオーナーシップマインド

充実したサービスでオンラインストアとして圧倒的な存在感を示すアマゾンジャパン。そのビジネス全体にわたって貫かれる顧客至上主義はどんな人材がどのように遂行しているのか。チャン氏に聞いた。

[西尾泰三,ITmedia]

 インターネット草創期の1990年代、彗星のように登場したオンラインストア「Amazon」は、顧客至上主義を貫きながら今なお革新を続けている。2000年11月にはアマゾンジャパンとして日本でもサービスを開始、インターネットビジネスの雄としての存在感は増すばかりだ。

 そのアマゾンジャパンを優れた手腕で率いるのが、同社代表取締役社長のジャスパー・チャン氏。同社は今、どこに進もうとしているのだろうか――チャン氏に聞いた。

顧客にフォーカスすることがAmazonの強み

tnfigam1.jpg 「歴史を作っていく」経験ができたと振り返るチャン氏

ITmedia チャンさんがアマゾンジャパンの代表取締役社長に就任したのが2001年4月でした。キャセイパシフィック航空からメーカーであるプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)、そしてインターネット企業へと活躍の場を移してきたわけですが、これまでを振り返ってみていかがですか。

チャン ITビジネスという点でも、小売りのリテールビジネスという点でも、それまで自分が携わっていたビジネス分野とはかなり違うものでしたが、これを躍進させ、かつ楽しみながら「歴史を作っていく」というすばらしい経験ができました。

ITmedia 強力なレコメンデーション機能などを提供するAmazonですが、その強みを一言で言うと?

チャン 顧客にフォーカスしていることです。顧客のニーズを理解し、それを満足させる革新的なサービスを常に提供することで、最高のユーザー経験につながるという信念がビジネス全体にわたって貫かれていることが強みであり、誇りです。

 アマゾンでは顧客満足度を高めるために、「SELECTION」「CONVENIENCE」「PRICE」の3点を掲げています。購買という経験から見ると、選択肢と適切な価格、そして便利なサービスを提供することで、幅広く使ってもらえるわけです。

 わたしたちは顧客をユーザー、セラー、デベロッパーという大きく3つのグループに分けて物事を考えますが、共通しているのは、彼らすべてが使いやすく、かつ革新的な技術を提供していくにはどうすればよいかであり、それを日々粛々と実践しています。それらすべてが必ずしも目に見えるような形ではないかもしれませんが、毎日のように改善が行われているのです。

仕事へのオーナーシップを持て

ITmedia それを支える人材についてはどのような考えを持っていますか。

チャン グローバルなエリアで仕事をしていこうと考えているなら、日本企業で働くためのスキルにプラスアルファが求められるのは確かでしょうが、どのような場面でも必要な基礎能力というものも幾つか存在します。

 例えば、他人を説得する、もしくは他人の意見に耳を傾けるためのコミュニケーション能力、さらに、データを分析/活用する能力などです。そのほかにも、(企業が採用しようとする)ポジションに合ったコンピテンシーを備えていることや、いい人柄が備わっていることなどが挙げられますが、こうした基礎能力のすべてを備えている必要はありません。結局のところ、自分がより所とできる強みを幾つか持ち、それを磨いていけばいいのです。基本的な柱となるものを持っている人が、自分を商品として売っていけるのです。

 これらの基礎能力も重要ですが、ビジネスを実際に実行するにあたってのオーナーシップを持つことの重要性はやはり触れておきたいところです。自分の仕事にオーナーシップを持ち、いかに自分自身の責任であると考えられるか、言い換えれば“情熱”を持っていることが必要です。

 わたしたちは「歴史を作っていく」使命を持っています。当然、未知の領域へと進むことになりますので、場合によってはリスクを取る必要もあります。そのときに、「自分が何をしたいのか」を理解しているかどうかが重要となるのです。例えば、自分がどういったサービスを提供したいのか、それを自分自身が理解し、自信と情熱を持っていれば、ほかの人がリスクであると思うことも、その人にとってはリスクではなくなります。

リスクを取るべきか、その判断基準

tnfigam2.jpg 「自分が何をしたいのかを知り、必要であればリスクも取るべき」とアドバイスを贈る

ITmedia チャンさん自身は転職を成長の糧としてきましたが、積極的にリスクを取るべきという考えなのでしょうか?

チャン リスクに挑戦しないことで可能性を自ら閉ざしていると感じるのなら、リスクを取るのもよいでしょう。重要なのは、「自分が何をしたいのか」です。現在、自分自身がやりたいことができているのであれば、わざわざリスクを取る必要はありません。ただ、わたしはリスクを取ることはいいことだと考えます。自分が実現したいことに、何か変化が必要なのであれば、自分から変化を起こしていく必要があるでしょうし、それが結果としてリスクへの挑戦と呼ばれるのです。

 わたしの場合ですと、リーダーとして成功したいという目標がありました。そのためには1つの業界だけで得られるスキルセットでは十分ではないと考え、変化――1つ1つ階段を上っていくような段階的な変化ではなく、自分の根幹が変わってしまうような――を求めたのです。わたしにとって、航空会社からメーカー、インターネット企業に移ったことは、刺激を求め、その刺激によって自分が成長していけるという点で大きな意味がありました。

 Amazonがグローバルで掲げるミッションステートメント――「地球上で最も豊富な品そろえをする」「地球上で最も顧客を大切にする企業になる」――の実現はまだ道半ばです。日本市場は輸入に頼ってしまうような市場ではなく、今後30年以上にわたって大きな市場であり続けると考えています。そうした市場に対し、これまで誰も経験したことのないサービスを提供し、顧客のさまざまなニーズを満たせるようにすることが、歴史を作っていくことになるのです。

ITmedia 休日はどういった過ごし方をされているのですか? 常に自己研さんでしょうか。

チャン 最近男の子が生まれましたので、その子の世話でしょうか(笑)。オンとオフのいいバランスを取ることは重要です。ただ、それでも常に顧客のことを考え、新しいニーズへのアンテナを張り巡らしておくことは大切なことだと思いますので、社員にもそのようにあってほしいですね。

OGA_0097.jpg 今後もさまざまな新サービスを提供し、顧客満足度の向上を図っていくと力強く約束してくれた

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