メールと通話機能の向上へ――ウィルコムが新端末と新サービス

ウィルコムは、通話とメールの使いやすさを重視した新端末および新サービスを発表した。

» 2008年01月21日 15時43分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 ウィルコムは1月21日、PHSの新端末5機種とメールサービスの拡充を発表した。国内端末を中国で利用すための新サービスも検討している。

 春商戦では、音声端末4機種とデータ通信カード1機種を新たに発売する。音声端末は、最大512kbpsのデータ通信ができる現行PHSの高度化規格「W-OAM」に対応し、フルブラウザの「Opera」や赤外線通信機能を搭載している。新端末のコンセプトについて、喜久川政樹社長は「若年層と30代以上のユーザーそれぞれが求めるコミュニーションニーズを重視した」と説明した。

喜久川政樹社長

 ハイエンドモデル「WX331K」およびデザイン性を重視した「XPLATE(テンプレート)」は、特に30代以上のユーザーをターゲットとしている。WX330Kは、折りたたみスタイルを採用し、2.4型QVGA液晶画面や130万画素のカメラ、microSDカードスロットを搭載している。XPLATEは、同社の音声端末では最軽量の重さ64グラムを実現した。さらに、中国のPHS用SIMカード(通称PIMカード)を挿入して、中国でも使用できるようになっている。

ハイエンドモデルに位置付けられるWX330K

 PIMカードは、中国でPHSサービスを提供する中国電信や中国網通のショップなどで購入でき、XPLATEに挿入して現地で通話ができる。通話料金の目安は北京市内の場合で終日3.2円/分となっており、NTTドコモのFOMA端末でローミング利用する場合と比べて、大幅に安くなるという。現在は、PIMカードを現地で購入する必要があるが、ウィルコムでは国内でPIMカードをレンタルするサービスを検討している。

中国では専用のSIMカードを端末に挿入して通話できる

 法人専用モデル「WX321J-Z」は、指紋認証機能やVPN内線通話機能、フルブラウザ、ドキュメントビューワ機能などを搭載する。昨年12月から開始した企業向け内線利用サービス「W-VPN」に対応しており、定額料金でPHSのサービスエリア内であれば内線通話ができ、Webを介して業務アプリケーションも利用できる。データ通信カードの「W-014IN」は、通信モジュール「W-SIM」をPCカードアダプターに接続して使用するという独自スタイルを採用した。若年層向けの「HONEY BEE(W331K)」は5色のカラーバリエーションを用意する。今回発表された端末は、2月中旬から順次発売される。

法人用モデルのWX321J-Z。背面にカメラを搭載する

 ウィルコムでは22日からメールサービスの内容を順次拡大する。PHSとNTTドコモおよびKDDIのau端末間での絵文字メールを利用できるようにするほか、WX330KとHONEY BEEで利用できる装飾メールサービス「デコラティブメール」を2月下旬から始める。今春以降、メールの保存容量を現在の1Mバイトから15Mバイトに拡大する。

2008年は、現行と次世代のPHSが併走

 2007年および2008年の事業展開について、喜久川社長は「2007年は新規市場の創出に成功し、2008年は現行のPHSサービス拡充と2009年に始める次世代サービスの準備に注力する」と話した。

 2007年は、割賦販売制度の導入や教育機関向けのスマートフォン料金サービスの導入、W-VPNサービスなどの導入により、学生や企業などの新規ユーザー層を獲得。2007年後半にみられた契約件数の純減傾向に12月には増加に転じ、「歯止めがかかった」(喜久川社長)という。

 2008年は、2009年夏以降に開始を予定する高速データ通信サービスを中心に、次世代PHSの準備に関する動きも注目される。喜久川社長は、「端末および基地局の開発は計画通り進んでいる。次世代だけでなく、現行サービスの拡充も並行して行っていく」と説明した。今回発表の端末やサービスは、通話やメールの使い勝手の向上を目的としており、喜久川社長によれば今春以降は、スマートフォン端末やデータ通信サービスに注力するという。

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