「データそのものの保護にフォーカスする」――米PGPダンケルバーガーCEO

データ暗号化ソリューションを展開する米PGPが日本市場での存在感を高めつつある。成長の原動力と今後の展開についてダンケルバーガー社長兼CEOに聞いた

» 2008年02月13日 19時29分 公開
[ITmedia]

 データ暗号化ソリューションを展開する米PGPは、2006年1月に日本市場へ進出。進出以前からの顧客を含めて、現在では約1200社の企業が同社のデータ保護製品が導入しており、日本市場での存在感を着実に高めつつある。

フィリップ・M・ダンケルバーガー氏

 社長兼CEOを務めるフィリップ・M・ダンケルバーガー氏は、躍進の原動力について、日本市場から求められる機能強化へ積極的に取り組み続けた結果だと説明する。

 同社のソリューションの特徴は、クライアント環境を含めてデータを保護するための仕組みを、単一のプラットフォームとして提供している点にあるという。ユーザーは暗号化を強く意識することなくデータを保護、利用することができる。日本市場からニーズにも応え、2バイト文字に対応したアーキテクチャの採用や国内で利用者の多い電子メールクライアントへの対応を強化を図っているという。

 「企業のIT管理者やセキュリティ管理者にとって最も効率的となる情報管理の仕組みを追求していく」(ダンケルバーガー氏)

 また、情報漏えい事件や個人情報保護法、J-SOX法の施行を受けて、企業ではコンプライアンスの観点からデータ保護に対する意識が高まっているという。「ここ数年はフィッシング詐欺やDoS攻撃のようにネットワークを介した脅威が注目されたが、データ自体を保護して脅威に備えるという考えが浸透している」とダンケルバーガー氏は話す。

 暗号化は、システムリソースへの負荷や利用方法が複雑であるなどの理由から導入に慎重なユーザーが一部存在する。同社では、これまでの製品開発において運用性を高める点に注力してきたという。

 このほど発売した製品群には、送信する電子メール全体をPDFファイルに変換して暗号化する「PDF Messenger」機能を実装した。メール受信者は解除パスワードを登録するだけで、PDF Readerで暗号化された電子メールを閲覧できる。同社の暗号化プラットフォームを持たないメール受信者が安全に閲覧できる仕組みになる。

 「暗号化に対する各国のニーズがどのようなものかを理解し、ソースコードの公開によって開発者からのフィードバックを常に製品開発へ反映させて、品質向上に注力している」(ダンケルバーガー氏)

 今後、日本市場向けにはサポート体制の拡充と販路の拡大を推進する計画。アジア地区のユーザーを集中的にサポートするセンターを近く開設し、対応の迅速化を図る。また、システムベンダーとの協業体制を拡充し、バンドル製品の出荷量も増やしていく。昨年5月にはNECとの協業を始めた。

 「セキュリティベンダーの年平均成長率は8〜12%だが、当社は30%。特にエンタープライズ市場は78%であり、この成長ペースを加速させる」(ダンケルバーガー氏)

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