「電源まわり」から見るデータセンターのファシリティもう一度、省電力を考えよう(1/3 ページ)

注目を集める「グリーンIT」。グリーンITは環境への配慮を狙うだけでなく、省電力による低コスト化など、TCO削減にもつながる取り組みである。企業のデータセンターにはグリーンITへの対応が強く求められている。

» 2008年03月03日 08時00分 公開
[敦賀松太郎,ITmedia]

このコンテンツは、オンライン・ムック「サーバルームの標準装備」のコンテンツです。関連する記事はこちらでご覧になれます。


環境への配慮を考える

 これまでデータセンターと言えば、契約しているインターネット接続プロバイダ(ISP)やそのISPのバックボーン回線など、ネットワークの品質や性能が重視されてきた。もちろん、建物の耐震性、電源供給設備、空調といったファシリティ部分が蔑ろにされていたわけではないが、どちらかと言えばネットワークのほうに目が向いていたのは事実である。これは何も企業のデータセンターやサーバルームに限ったことではなく、商用のデータセンター事業者もネットワークの品質や回線の太さを売りにすることが多かった。

 ところが、ここ最近は状況が一変しつつある。地球温暖化など環境問題がクローズアップされ、その対策のためのCO2排出量の削減が世界的な課題となって、「グリーンIT」という新しいトレンドが注目されるようになった。それに伴い、データセンターのファシリティを見直す動きが出ているのだ。

 グリーンITの最大のテーマは、言うまでもなく「環境への配慮」である。ITにおける環境への配慮とは、すなわち消費電力の削減ということだ。

 実は、消費電力の問題は、グリーンITが注目される前から話題に上っていた。コンピュータやストレージ、ネットワーク機器などが高性能化するにつれ、その性能に比例するように消費電力が増えていったのだ。これにより、データセンターやサーバルームの電源容量が足りなくなるという事態が発生し、電源増強工事を行ったり、データセンターの建物を建て直したりする企業も少なくなかった。

 一方で、性能に比例して消費電力も増えていくというハードウェアも問題視され、多くのベンダーが低消費電力を実現する製品の開発に乗り出した。その結果、省電力タイプのプロセッサやメモリを搭載し、熱対策にも配慮したサーバコンピュータが主流になり、性能あたりの消費電力量は低下する傾向にある。ただし、ITへの依存度がますます高くなる今後、消費電力の全体量が増加することは間違いなく、さらなる低消費電力製品の開発が望まれるところだ。

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