国産サーバのふるさとに息づく熱き“職人魂”ものづくりニッポンの最前線(1/3 ページ)

国産のITハードウェア製品は、何といっても「品質が命」。富士通サーバ製品の生産を担う富士通ITプロダクツの工場内には、品質の徹底にこだわり続ける職人たちの姿があった。

» 2008年03月12日 00時00分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 かつて国内で生産されていた数多くのITハードウェア製品は、現在では製造コストやグローバル化対応などを理由に、その多くが海外へ生産拠点を移している。今も国内で生産される機器は、大型システム向けやミッションクリティカルなシステム向けなど「信頼第一」を徹底しなければならないものばかり。だが、その信頼は高度の生産管理システムだけでなく、人間一人ひとりの手によって支えられている。

 石川県能登半島の付け根に位置するかほく市に本拠を置く富士通ITプロダクツ(FJIT)は、富士通が開発するサーバやストレージ、また、グループ会社のPFUが開発するイメージスキャナの生産を担当する。FJITは、2002年に国内4カ所に点在していた生産拠点を統合して設立された。現在では、大型UNIXサーバ「SPARC Enterprise」や小型のUNIXサーバ、IAサーバ「PRIMEQUEST」、メインフレーム、ストレージ「ETERNUS」、イメージスキャナなど主要なものだけでも約100品目を生産し、2006年度の売上額は約700億円強である。

出荷を待つ大型サーバ

 サーバ/ストレージ製品は、まず富士通川崎工場の研究部門(川崎市)で開発がスタートし、沼津工場(静岡県)で試作評価する。量産化研究と生産をFJITが担当するという体制だ。FJITでは開発段階から参加し、富士通本体の開発部門を共同と量産化プロセスの構築にも携わる。

 主要製品は、CPUの製造から始まり、LSIへの実装、ユニット化、筐体への取り付け、評価試験、出荷までの一貫生産をしており、多品目少量生産体制を取る。すべての生産はERPシステムの「GLOVIA」で管理され、設計や購買、調達を含めた情報を富士通グループで共有している。

 生産量は、LSIパッケージでは1CPUタイプのSCM(Single Chip Module)が59種で月1万5000枚、複数のCPUを搭載するMCM(Multi Chip Module)が6種同100枚。ユニットは最大44層で1300種に及び、月産は約8万枚。これらの部品を搭載する製品の生産台数は、大型サーバが月約450台、小型サーバが同2000台強、ストレージが同400台、プリンタ/イメージスキャナが同1000台強となっている。

 FJITでは2003年から生産全体の改善、最適化を図る取り組みに着手している。特に強みとしているのが、品質向上に対する徹底した取り組みだ。現在までに最先端のシステムの導入・運用やグループ各社との密接した協力体制を構築するとともに、社員一人ひとりが品質にこだわる取り組みを進める。

「品質確認に長時間を割いている」と話す高田社長

 高田正憲社長によれば、サーバ/ストレージ製品の平均リードタイムに占める品質保証の確認作業は実に80%以上になり、品質に対する現場のこだわりが同社製品の信頼性を保証する原動力になっているという。

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