「システムの作り直しをなくしたい」――SIer9社がガイドライン公開

システムの作り直しによる不要な作業やコストを撲滅すべく、NTTデータら大手SIer9社が「発注者ビューガイドライン」を公開した。

» 2008年03月18日 15時50分 公開
[ITmedia]

 大手SIベンダー9社で構成する発注者ビュー検討会は3月18日、システム開発を発注する際のガイドライン「発注者ビューガイドライン」の「システム振舞い編」および「データモデル編」を公開した。

 発注者ビューガイドラインは、情報システム開発時の設計書の記述や記述内容の確認について、発注者と開発者との間で誤った理解や認識のずれを防ぐことを目的に作成された。意識や見解のギャップを発見するためのノウハウや留意点をまとめている。発注者と開発者の認識の相違が原因となってシステム開発をやり直すケースが従来から頻繁に起きており、SIベンダー各社が作り直しに伴う費用や人員の負担を強いられることが珍しくない。

 公開されたシステム振舞い編は、発注者の業務プロセスに沿った情報システムでの処理内容や処理のフローを「システム振舞い」として定義し、システム化の対象となる業務の範囲とプロセス、また、その内容について、一覧表やフロー図として表現するため描き方や発注者が理解しやすい確認方法をまとめた。

 また、データモデル編では情報システムが取り扱うデータの単位や、データのライフサイクル(作成/参照/更新/削除の時期など)に基づいて、システムの設計書の取りまとめ方や発注者への確認方法、設計書の書き方ノウハウなどを取りまとめた。設計書や補足資料を積極的な活用、発注者とのコミュニケーションを促進するといったアドバイスもしている。同時に概説編と用語集も公開している。

 なお、作成に際しては東京証券取引所やAGS、三菱電機インフォメーションシステムズ、日本情報システム・ユーザー協会も協力したという。発注者ビュー検討会は今回の公開で活動を終了し、4月以降は情報処理推進機構ソフトウェア・エンジニアリング・センターが継承し、一般へのガイドライン普及に当たる。

 発注者ビュー検討会に参加するのは、NTTデータ、富士通、NEC、日立製作所、構造計画研究所、東芝ソリューション、日本ユニシス、沖電気工業、TISの9社。

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