コラム
» 2008年04月03日 06時00分 UPDATE

IT Oasis:21世紀以前のITを訪ねて (1/2)

連載コラムの初回として、ITとは何か?について考えてみた。そういえば、ITを「イット」と発音した政治家もいた。しかし、「イット」にはスラングとして、素敵な意味も含んでいるらしい。

[齋藤順一,ITmedia]

「イット革命」の衝撃

 このエピソードはもう忘れてしまっている人も多いかもしれない。

 2000年、当時の森首相が首相執務室を訪れたある省庁の幹部に「君、このイット革命って何だ?」と聞いたという話が週刊誌で報じられた。支持率が低迷していた内閣の首相の素っ頓狂な発言は、ITも知らないのかとマスコミの餌食にされた。

 確かに脱力感をもよおす発言ではあったが、その後、ITバブルは起こっても革命など起こらなかったので、森さんの指摘も実は鋭かったのかもしれない、とも思う。IT(イット)というのは英国のスラングで「ちょっといいもの」という意味なのだそうだ。スラングでは、正統ではないが何だか面白そうなもの、ということになるらしい。

 ところで、森首相を嗤った人は、改めて、「それではITって何ですか」と聞かれたときに自信を持って答えられるだろうか。

 実はITはブクブクと深いのである。一筋縄ではいかない。力任せに入り込んでいくと、それこそズブズブ、ブクブクと深みに沈んでいってしまう。

 技術者としての経験を生かし、企業のIT導入のお手伝いをしている筆者も、例に漏れることはない。抽象論だけではない、具体的な解決策を模索する企業のIT導入の現場も、やはり、相当な深みと一筋縄でいかない難しさが存在する。だからこそ、スラングとしてのIT(イット)の意味に強く惹かれるのかもしれない。

Technologyは技術の成果物

 ITというのはご存知のようにInformation Technologyの略である。日本語では「情報技術」と訳されている。

 情報とは何か、技術とは何かという議論もあり、様々な定義もある。

 ここでは「情報」については、情報処理学会の元会長である高橋秀俊先生の「『知る』ということの実体化。われわれが、あるものについて『知る』ということは、何かしらを得たこと、何かを頭の中に取り込んだことである。その『何かしら』をわれわれは情報と呼ぶのである」という定義を採っておきたい。

 情報というものが外部から人の頭の中に入り、知識や思考、判断の素になるという理解が大切である。

 一方で「技術」については日本では匠の技とか名人芸としてイメージされやすい。日本人には、日光東照宮にある眠り猫の彫刻を見ると、その美しさではなく、左甚五郎の手によるものと伝えられるノミの技に感心してしまうよう特性があるのではないか。

 Technologyはテクニックではなく、技術の成果物として出来上がったものを指す言葉であることに注意したい。

 つまりIT、情報技術とは人の頭の中で知識や思考、判断の素になるようなデータを外部から伝える手助けや、人の知識や判断を他の人へ伝えるのを支援する技術の成果物ということになる。

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