ご存じのように日本は、メインフレーム大国といわれるほど多くのレガシーシステムが稼働している。IDCによれば、その数は4000に上る。潜在的にはこのうち3割がオープンシステムに移行すると予測されている。
米国本社でBusiness Critical Systems部門のGMを務めるマーティン・フィンク上級副社長に日本市場への取り組みや、オープニングセッションで紹介した、Adaptive Infrastructureの次に控える「Polymorphic Computing」について話を聞いた。
ITmedia 日本市場はほかの地域に比べてより多くのメインフレームが稼働しています。どう見ていますか?
フィンク メインフレームを置き換える最大の動機は、コストです。硬直したシステムのままでは、それを維持するために多くのコストが掛かってしまいます。プレッシャーは、日本でも他国と同じだと思います。Philippines National Bankは、30%のコスト削減を実現しました。これはたいへんな数字です。
まずは、データベースを移行させたり、オープンシステムでも同じアプリケーションが稼働するのであれば、それを移行させることから始めるのが最良の戦略です。SAPなどが良い例です。成功のカギは、好例があるところから始めることです。
カスタムコードは、どうしても時間が掛かってしまいますが、われわれにも質の高いサービスやコードの分析/可視化ツールがあります。また、日本にはNTTデータや伊藤忠テクノソリューションズといった経験ある大手のパートナーもあります。
多くのメインフレームが稼働する日本市場は、リスクを嫌う国民性もあって、チャレンジでもありますが、より大きな機会があります。オープンシステムがメインフレームと同等の能力を提供できることを説得していきたいと思います。
ITmedia オープニングセッションで紹介した「Polymorphic Computing」は、実現できるのでしょうか。できるとすればいつごろですか。
フィンク 4〜5年で完全に実現できると考えています。カギを握るのは、オプティカル相互接続技術です。ラック間、ボード間、プロセッサ間と、オプティカル接続にもさまざまなレベルで研究開発が進められています。あとは、ビジネスの優先度に応じて、適切なコンポーネントを動的に配分し、組み立て直す管理ソフトウェアがあれば、Polymorphic Computingは実現できます。
ITmedia 信頼性の高いボックスとして評価されているIntegrityの価値はどうなるのでしょうか。
フィンク Polymorphic Computingではコンピュータの概念も変わります。全体が1つの大きなコンピュータとして捉えられる次世代データセンターでは、それを構成する信頼性の高いサブコンポーネントとしてIntegrityを訴求していくことなるでしょう。
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