コラム
» 2008年05月12日 09時18分 UPDATE

Weekly Memo:ビル・ゲイツMicrosoft会長が来日会見――その発言を読む (1/2)

今回は、Microsoftのビル・ゲイツ会長が5月7日に行った来日会見でのYahoo!買収断念やSaaSへの取り組み、Google追撃に関する発言を、筆者なりにとらえてみたい。

[松岡功,ITmedia]

プライドを感じさせたMSの“顔”

 前回のこのコラムで、MSのYahoo!買収断念について書いた。そして折りしもその発表直後に行われたビル・ゲイツ会長の来日会見。6月末をもって経営の第一線から退くことが決まっているものの、これまでMSの“顔”だった同氏がどんな発言をするか、注目が集まった。ゲイツ氏はこの共同会見をはじめ、新聞では朝日、日経、テレビでは日本テレビの個別インタビューにも応じており、あたかも買収断念を巡る自身のコメントを、発表からワンクッションを置いて日本で発信するシナリオが組まれていたかのように、精力的にメディアの取材対応をこなしたようだ。共同会見の模様はすでに報道されているが、ここではYahoo!買収断念やSaaSへの取り組み、Google追撃に関するゲイツ氏の発言で、筆者がとくに印象に残ったコメントを挙げておきたい。

mstop1.jpg 来日会見に臨むビル・ゲイツMicrosoft会長

 「われわれはYahoo!と対話する努力を相当してきたが、それぞれ独立した方向性を追求すべきだという結論に至った。スティーブ・バルマーCEOが発表時に出した声明の通り、MSは独立した戦略に集中していく」

 Yahoo!買収を再度検討する可能性があるかと聞かれたゲイツ氏はこう答えた。記者からのこの質問は、一部の欧米メディアが、MSから再提案があればYahoo!は交渉に応じる姿勢だと報じたのを受けたものだが、先週のWeekly Memoでも解説したように「MSはまだYahoo!買収を完全にあきらめていないのではないか」と見ている筆者としては、ゲイツ氏の表現の仕方に注目した。

 その意味では、同氏は自身が語っているように、バルマーCEOの発表時の声明以上のコメントを避けた。同氏の発言を受けて、MSはYahoo!買収再検討に「否定的」あるいは「消極的」と報じたメディアが少なくなかったが、キッパリと否定した形ではなかったのも事実だ。

 ただ、日本テレビが9日夜のニュース番組で報じた個別インタビューで、この件を執拗に聞かれたゲイツ氏は「自分たちだけでやっていく。我々はこれまでもいろんな製品やサービスを自分たちだけで開発し、成功させてきたのだから」と、少しいらだった様子で答えた。これを受けて同番組では「可能性を否定した」と言い切っていた。

 しかし、同氏のこのコメントも「独立した戦略に集中していく」こと以上に踏み込んだとは思えない。ただ「自分たちだけで」と強調したところに、MSの“顔”としての確固たるプライドと自信を感じさせた。

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