サービス可用性――その評価手法を知っているか?ITIL Managerの視点から(2/3 ページ)

» 2008年06月13日 08時00分 公開
[谷誠之,ITmedia]

■SOA(Serivice Outage Analysis)

図2:SOAの構造化アプローチ(画像クリックで拡大)

 日本語では、「サービス停止分析」となる。システム停止分析(System Outage Analysis)と書かれているものもあるが、意味はほとんど変わらない。現状では、SOAというと「サービス指向アーキテクチャ(Service-Oriented Architecture)」を指すことが多いため、詳しい文献をネット上で探るのは残念ながら困難である。

 SOAはその名前の通り、ユーザに提供するサービスを中心に、そのサービスが停止することになりうる根本原因を分析/改善することによって可用性を考える手法である。主人公はITではなく、サービスだ。サービスが中断される根本原因を、ITと少し切り離して考えてみよう、というわけだ。サービス中断の主たる原因は、もしかしたらITそのものではなく、運用面、決められたプロセス、手順、企業風土なのかもしれない。

 SOAの作業は、図2のような構造化アプローチをとる。一種のウォーターフォールモデルである。このアプローチそのものはコンサルティング業務などでは一般的なもので、目新しいものではない。言い換えれば、組織のサービス体系に対してきちんとコンサルティングしましょう、ということである。

 「改善機会の選定」とは、SOAの作業対象となるサービスを決定することである。対象となるサービスを事前に決定しておくことで、問題に集中することができる。

 「作業範囲の決定」は、今回の作業において対象となる領域、対象とならない領域を決めることである。例えばITインフラストラクチャを対象とし、手順やプロセスは対象としない、というようなことを決める。

 対象となるサービス、領域が決まったら次は「作業の計画」を行う。計画は、実際に作業を開始する数週間前から計画されることが望ましい。次のようなことを計画する。

  1. 作業の開始日と終了日
  2. 主要なマイルストーン
  3. SOA作業のためのメンバー
  4. 各メンバーの役割と責任
  5. 分析に必要なデータの収集源
  6. 作業を行うための場所や必要な機材(部屋、ホワイトボード、プロジェクターなど)
  7. キーパーソンへインタビューするスケジュール

 現在の課題により集中的にフォーカスするために、作業の開始日と終了日との間隔は長くても6カ月以内にすることが望ましいとされている。

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