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» 2008年09月05日 09時00分 UPDATE

セキュアモバイルアクセス:3.5GやWiFiが普及、モバイルアクセスの手段を見直そう (1/2)

携帯電話網を使ったデータ通信の高速化や公衆無線LANサービスの普及により、リモートアクセス環境が格段に向上した。ビジネスのパフォーマンスアップにつながる最適なサービスを選ぶポイントを見ていこう。

[池田冬彦,ITmedia]

本記事は、オンライン・ムックPlus「モバイルから安全に企業ネットへ接続しよう」のコンテンツです。関連記事はこちらでご覧になれます。


 ビジネスのスピードが加速し、モバイルアクセスの必要性が高まりつつある。電子メールやインターネットを通じてあらゆる情報がやり取りされている今、社外で多くの時間を過ごす社員にモバイルアクセスの手段を提供して生産性を高めることが企業の経営課題の一つでもある。同時にモバイル環境でのセキュリティの確保も大きな課題だ。

 わずか数年ほど前までモバイルアクセスの主役は、ノートPCと公衆無線LAN、または、PHSデータ通信だった。だが、最近は情報漏えいの防止などを目的にPCの持ち出しを禁止するところもある。そんな状況が高性能モバイルなど新たなデバイスの登場や携帯電話網による高速データ通信の広がりとともに大きく変わりつつある。今回はモバイルアクセスの種類と特性、活用法に焦点を当ててみよう。

機動性重視なら携帯系サービス

 モバイルアクセスの手段は、主に公衆無線LANサービスと携帯電話事業者が提供するデータ通信サービスの2つに分類される。このうち、ほとんど場所を選ばずにインターネットへ接続できるのが、携帯電話系のワイヤレスデータ通信サービスだ。この分野では、PHSをインフラとしてサービスを提供するウィルコムの「AIR-EDGE」サービスが古い歴史を持っている。近年では、第三世代(3G)携帯電話規格である「W-CDMA」の高速データ通信仕様「HSDPA」が普及し、最大下り7.2Mbps(理論値)でのブロードバンド通信が可能になった。

 携帯電話各社のサービスで、特にコストパフォーマンスが高いのがイー・モバイルの提供する「EMモバイルブロードバンド」である。このサービスでは、ノートPCにデータ通信モデムを接続すれば、サービスエリア内ならインターネットへ接続できる。利用料金は、完全定額制の「データプラン」の場合で月額5980円、2段階定額制の「スーパーライトデータプラン」では同2000円からと安価だ。

 EMモバイルブロードバンドは、2007年3月にサービスを開始し、都市部を中心にサービスエリアが広がっている。2008年8月時点では関東地方や関西、中京エリアでは山間部や海上なども含めたエリアをカバーするようになり、北海道最北端の稚内市から沖縄県南部にいたる全国網を形成しつつある。

 通信速度は、HSDPAのカテゴリ6の理論値である下り3.6Mbpsが標準的なもので、上りはW-CDMAの理論値である384Kbpsとなる。また、大都市部の一部のエリアではHSDPAのカテゴリ8の理論値である7.2Mbpsの通信速度を利用できる。この場合も上りの通信速度は384Kbpsだ。この高速のサービスが場所を選ばず安価に利用できる点で大きなメリットがある。また、プロトコルの種類は規制しておらず端末にグローバルIPアドレスが割り当てられるため、VPN接続もほぼ問題なく利用できる。

 しかし、EMモバイルブロードバンドのような携帯電話系の通信サービスの弱点は、基地局からの距離や周囲の障害物などが電波環境に影響を与え、常に通信速度が変動してしまう点だ。都市部での平均的な通信速度(実効速度)は、W-CDMAのカテゴリ6の場合で800Kbps〜1.5Mbps程度であり、場合によっては300〜400Kbps程度に落ち込むこともある。また、上りの通信速度は下りよりも遅いので、環境によってはファイルの送信などで100Kbpsを下回るなど、かなりの時間を要することがある。

 ウィルコムのAIR-EDGEは、最大512Kbps(W-OAM TypeGの場合)という通信速度のサービスであり、HSDPA通信に比べると低速ではあるが、人口カバー率が99%とサービスエリアが非常に広い。地下鉄駅構内など含めて広範なエリアをカバーしているのが特徴だ。10月からは、月額3880円の定額制データ通信サービス「新つなぎ放題」に、PHSあての音声通話料が無料になる月額980円のオプションが加わる。「データ通信も通話も安くしたい」というユーザーに適したサービスとなるだろう。

代表的な携帯電話、PHS系データ通信サービスの比較。AIR-EDGEのPHSインフラのエリア展開は最も進んでおり、場所を選ばず利用できる利便性は高い。ただし、通信の状況によっては100Kbps以下に落ち込むこともある
サービス名 EMモバイルブロードバンド AIR-EDGE
利用料金 「データプラン」は月額5985円。2段階定額制の「ライトデータプラン」は2000〜5480円、「スーパーライトデータプラン」は2980〜6480円。各種割引サービスあり。 パケット定額プラン「新つなぎ放題」は月額3880円(2年間の継続利用。解約の場合、別途解除手数料がかかる)。
人口カバー率 非公開(日本全国に展開) 99%(日本全国に展開)
最大速度(理論値) HSDPAカテゴリ8対応エリアで下り7.2Mbps、それ以外は3.6Mbps。上りは384Kbps W-OAM TypeG対応エリアでは512Kbps、それ以外では256〜408Kbps
プロトコル制限 なし 「Club Air-EDGE」ではVPN不可。「PRIN」では可能。
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