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VPNとシンクライアントでコスト削減、アルファシステムズの事例セキュアモバイルアクセス(2/2 ページ)

» 2008年09月29日 07時00分 公開
[國谷武史,ITmedia]
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移動コストの削減効果は1人4万円

 運用当初の利用者は21人で、主に常駐先企業のネットワークや自宅のインターネット回線から接続していた。2007年秋以降、携帯電話各社が提供する高速データ通信サービスや公衆無線LANサービスから順次接続できるようにし、利用規模は1年間で約5倍に拡大した。

 技術推進部の千葉大作課長は、「スムーズにリモートデスクトップを操作するためには回線速度の実効速度が1Mbps程度必要だが、HSDPA方式の高速データ通信や定額制料金などの普及で接続方式の選択肢が増えた」と話している。

利用者がリモートアクセスする時間帯の傾向

 リモートアクセスする社員の時間帯別の利用状況では、午後2時をピークに日中が多く、午後11時以降の利用も多いことが分かった利用場所の中心は自宅だが、携帯電話各社のサービスを利用できるようになったことで、外出時や出張先での利用も多い。利用目的の大半は電子メールであり、案件管理システムや勤怠管理システム、ドキュメント作成の利用も多い。リモートアクセス環境でも社内にいるのと同様に業務を行っている様子が判明した。

 利用者にリモートアクセスのメリットを尋ねたところ、情報漏えいを防げることに加え、顧客対応や承認といった作業の迅速化を挙げる回答が目立った。メール確認のためだけに出社するといった無駄な移動が少なくなったことで、時間に余裕が生まれた点を評価する声も少なくない。

 管理職の利用者に具体的な経済効果を尋ねたアンケートでは、外回り社員の例にみると移動時間の短縮に伴うコスト削減が月額約4万2000円、顧客対応の迅速化に伴う収益の向上が同約8万6000円、残業時間の短縮などによる効果が同約2万2000円という結果になった。このほかにも、「在宅勤務で時間を有効活用できるようになり、家族との時間が増えた」「作業時間の自由度が高まるのが良い」という意見も寄せられたという。

リモートアクセスに感じるメリット

 リモートアクセス環境に対する改善要望では、「起動時間の短縮」が最も多く(現状は約80秒で起動)、営業職以外の一般社員への利用拡大や、低速度の回線で接続しても転送表示する自席PCのデスクトップ画像をよりスムーズにしてほしいといった声が数多く寄せられた。

 今後はこうした機能改善を進めるとともに、リモートアクセスによって就業時間が伸びてしまう恐れがあることから、認証サーバなどで就業時間を管理していく体制作りも進めているとしている。

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