実験では前回のフレーム再送実験と同様、Azimuthを使用してノイズの影響などを極力排除した理想的な環境を使用する。Azimuthによって生成された無線LAN NICあてのフレームを無線LANアクセスポイント経由で送信し、無線LAN NICが単位時間当たりに受信できたフレーム数を測定する。送信されるフレームはすべて1518バイトとし、無線LANアクセスポイントに入力するデータレートは5Mbps刻みで増やしていった。
また、この実験では使用される無線LANデバイスによって違いが起こる可能性があるので、3種類の無線LANアクセスポイント/無線LAN NICを用意し、それぞれに対して実験を行った。使用した実験対象は以下の3つである。NEC PA-WR6650S/SCはIEEE802.11aに対応しているが、測定はすべてIEEE802.11gで行った。
- バッファロー WHR-HP-G54/P
- コレガ CG-WLBARGS-P
- NEC PA-WR6650S/SC
図3 送信できるフレーム数の計算方法
この実験における理論上の最大フレーム数は2567フレーム/秒となる。計算方法は図3に示すとおりだ。ここではデータフレームとACKフレーム以外のフレームは存在せず、すべてのフレームが54Mbpsで伝送されるという仮定に基づいてモデルを単純化している。実際にはアクセスポイントからのビーコン*が存在したり、またACKフレームがデータフレームよりも遅い伝送速度*で送信されたりするため、2500フレーム/秒前後まで小さくなるはずである。
図4 フレーム数測定実験の実験結果
それでは実際の実験結果を見てみよう。結果は図4にまとめた。3つの機種で実験を行ったが、すべての製品で2400〜2500フレーム/秒が伝送できる限界となった。これらの数字はおおむね予測したとおりの結果である。また、この実験に関しては製品による差はあまりない。強いて言うなら、WHR-HP-G54/Pではほぼ理論上の限界(2488フレーム/秒)まで、すべてのフレームを無線LANに送信していたのに対し、CG-WLBARGS-PとPA-WR6650S/SCでは限界に達する前に送信できないフレームが出始めていた。若干ではあるが、WHR-HP-G54/Pの方が安定している。
無線LANの実パフォーマンスを測定せよ【後編】では、無線LAN NICとアクセスポイントとの距離で変化する伝送レートの影響について調査する。
無線LANアクセスポイントから一定間隔で発信される、ネットワーク認識情報を含んだフレーム。
今回使用した3製品はすべて24Mbpsであった。
本記事は、オープンソースマガジン2006年5月号「計る測る量るスペック調査隊 第6回 無線LANの実パフォーマンスを測れ!」を最新の情報を踏まえて再構成したものです。
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