MicrosoftはWindows VistaとWindows Server 2008のSP2のリリース候補版を早期に提供するという約束を果たしたが、残念ながら、企業にとって注目すべき改善は少ない。ユーザーと管理者にとって最も恩恵が大きいと思われるのは検索機能の改良だ。
Microsoftは3月5日、Windows VistaとWindows Server 2008のService Pack 2(SP2)のリリース候補版を早期に提供するとした2月の約束を果たした。
eWEEKラボで予備的に検証したところ、VistaのSP1とは異なり、SP2にはVistaのユーザーや管理者にとって重要な改善が少ないことが分かった。SP1では、UAC(ユーザーアカウントコントロール)の簡素化やファイル転送の高速化など、エンドユーザーに非常に分かりやすいメリットが提供された。
テストでは、SP1を組み込んだ2つのWindows Vista Ultimate搭載x86クライアント――1つは物理マシン(Dell XPS m1330)上、もう1つはVMware Workstationの仮想インスタンス上のクライアント――にSP2をインストールした。5言語用スタンドアロン版をクリーンな環境にインストールするのにかかった時間は21〜27分だった。SP2をフルインストールするのに必要なハードディスクスペースは約1Gバイトだった。ただしMicrosoftでは、完全にアップデートするには、アップグレード対象のクライアントのHDDに最低でも7Gバイトの空き容量があることが望ましいとしている。
サービスパックが使用したハードディスクスペースの一部を回復できるようにするために、Microsoftは「compcln.exe」という実行ファイルをSP2に組み込んだ。これは、SP2によって置き換えられたOSファイルのアーカイブ版を削除するプログラムである。テストでは、このコマンドを実行することにより、約330Mバイトのスペースを回復することができた。しかしcompcln.exeを実行すると、サービスパックをアンインストールできなくなることが分かった。このため管理者は、以前の状態に復帰する必要がないことが確実なシステム上でしか、このコマンドを実行すべきではない。
SP2は累積アップデートではないため、SP2へのアップグレードの対象となるクライアントでは既にService Pack 1が動作していることを確認する必要がある。SP2を導入するには、「Hotfix KB955430」というサービススタックがあらかじめインストールされていなければならない。KB955430のドキュメントには、同スタックは「ソフトウェアアップデート、言語パック、Windowsのオプション機能のインストールと削除を処理する」と記されている。SP2のスタンドアロン版実行ファイルには、インストールプログラムの一部としてこのアップデートが含まれているが、WSUS(Windows Server Update Services)を通じてSP2を導入する予定の管理者は、あらかじめこのホットフィックスを導入しておく必要がある。
従来のサービスと同様、SP2には既にリリースされたセキュリティおよび各種機能のホットフィックスが含まれるほか、Microsoftはハードウェア関連の機能強化もSP2で提供した。その中には、ネットワーク上でVistaを運用している数少ない企業の管理者にとって非常に重要だと思われるものもある。Microsoftによると、SP2で追加されたこういった改善として、VIAの64ビットプロセッサのサポートや、Blu-ray記録機能をOSに統合したことなどを挙げている。
ワイヤレス機能に関しては、Bluetooth 2.1のサポートが組み込まれたほか、OSの統合ワイヤレスLAN機能に幾つかの改良が追加された。具体的には、SP2ではOSがスリープ状態から復帰したときのWi-Fi再接続が高速になったのに加え、Windows Connect Now(WCN)機能がVistaに統合された。WCNはワイヤレスルータ/ネットワークの導入を容易にすると宣伝されていることを考えれば、この機能が企業のワイヤレスLANにインパクトを与えることはなさそうだ。
しかし管理者にとっては、Vistaに搭載されているデスクトップ検索機能に対するSP2アップデートはメリットと思えるかもしれない。従来版のWindows Vistaには「Windows Search 3.0」が組み込まれているが、SP2は自動的に「Windows Search 4.0」へのアップグレードを実行する。1年ほど前に単独のアップグレードとしてリリースされたWindows Search 4.0は、インデクサーの安定性と速度を改善するとともに、Windows Explorerのソートと分類処理も高速化する。
Windows Search 4.0では、グループポリシーを通じて検索とインデックス作成をコントロールする機能も大幅に強化された。従来版では9種類のグループポリシーコントロールが用意されていたが、バージョン4.0ではそれが30種類に増えた。新たに追加されたコントロールとしては、Exchangeストアのインデックス化を抑制する機能、特定の拡張子のファイルのインデックス化を禁止する機能、クライアントをイントラネット検索サービスに誘導する機能などがある。
さらにSP2では、電源管理機能に対するグループポリシーコントロールも増やされた。
Microsoftは、このサービスパックのゴールドコード(最終版)のリリース日程をまだ発表していない。
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