企業IT最適化のゴールを目指す

「作らない開発」による段階的な最適化で競争力をアップCosminexus V8 Review

企業の競争力を向上するには、ITシステムの改善が欠かせない。しかし、理想にこだわりすぎると思わぬ痛い目を見ることも。SOAに基づいた現実的アプローチの方法を探る。

» 2009年03月16日 08時00分 公開
[友成文隆(日立製作所),ITmedia]

人やビジネスをシステムに合わせていないか?

 新しいビジネスは、それを支えるITシステムなくしては始まらない。しかし、そのたびにITシステムを構築していては年単位の工期がかかってしまう。また、各システム間の連携が個別に行われており、連携プロトコルやデータフォーマットが不統一であるなど、課題のあるシステムも少なくない。新しい連携のためには、各システムを新たに”縫い合わせ”なければならない。経営がITシステムの遅々としたペースに左右されてしまう、これでは日々変化する経営環境についていけない。

 利用する側の視点も同じだ。今やシステムがなければ業務は進められない。受注、生産、出荷、など、システムは複数の業務に密接に関わっている。しかし、個々のシステムが個別に設計・開発された結果、同じデータを何度も入力しなければならなかったり、画面を切り替える手間があったりと、使い勝手が悪いものになってしまった。

 これらの課題を解決するのがSOA(Service Oriented Architecture)である。これによりアプリケーションの開発生産性は飛躍的に向上し、サービスを組み合わせた「作らない開発」で、新たなビジネスにあわせたシステムを早期リリースできるようになる。そして使う側にあったユーザビリティをポータルやビジネスフローで解決する。このためには、SOAは最適であるが、残念ながらテクノロジーだけでは問題の解決にはならない。

各システム間の連携が個別に行われている

テクノロジーだけで解決しない理由は影響範囲が広いからだ

 SOAが提唱する最終形態の理想を目指すあまり、全社的な全体最適化へのアプローチに陥ってしまい、断念してしまうケースが多い。

 その原因は、ビジネスプロセスの改革、既存システムの改修とサービスの抽出、そして新たなテクノロジーに沿った開発方法論の確立に時間がかかってしまうことだ。

 ビジネスプロセスの全体最適には、その技術を有したビジネスアーキテクトの確保が不可欠である。そしてビジネスプロセスの調査、分析、経営審議などの手順に沿って推進することは多大な期間を要してしまう。さらに、既存システムをサービスとして括り出すことも、既存の技術者での対応は困難であり、新たな技術者の確保と作業期間が必要になる。全社的な全体最適化が理想ではあるが、一度に全体最適を行うには影響する範囲が広く期間がかかってしまう。

 しかし、SOAは将来のシステムのあるべき姿として、中長期的に取り組まなければならない課題だ。先送りはITを駆使した新たなビジネスモデルの実現で競合上不利になってしまう。

影響する範囲が多岐にわたる

段階的システム最適化のススメ

 SOAに基づく業務プロセスの見直しといっても、いきなり全社レベルでの見直しは開発の長期化やコスト面を考えても現実的ではない。既存システムは企業の強みとなる資産であり、置き換えると言うことはできない。

 そこで、スモールスタートを提案する。既存システムを生かしつつ、業務プロセスのシステムや新規システムを進める「段階的システム最適化」を行うのだ。

 段階的システム最適化を実現するため、Cosminexusは業務システム全体を3つのレイヤー「フロント統合」「プロセス統合」「情報統合」の観点で、段階的にシステムを最適化するための製品群を提供している。ユーザビリティ確保のための画面の集約から始めたり、複数システムを連携したワンストップサービスを提供したり、データの収集・統合したりと、システム全体にわたっての個別の課題ごとの最適化が可能だ。課題解決の効果を早期に実感して、徐々にインフラを整備していくアプローチを実践できる。

  • フロント統合

業務に必要な操作を1つの画面に集約して、快適なユーザインタフェースを実現。

  • プロセス統合

シームレスなシステム連携で業務をスムーズに処理し、効率的なワンストップサービスを実現。

  • 情報統合

散在するデータを収集・統合し、各種サービスに高品質なデータをタイムリーに供給。

段階的システム最適化

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