企業ITサービスを支えるブレードサーバ
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» 2009年03月27日 08時00分 公開

アプライアンスまでブレード化:シャーシへの機能集約が進むブレードサーバ

サーバコンピュータの集積度を高めることを目的として登場したブレードサーバだが、成熟度が増すにつれ、LANスイッチやSANスイッチなど、サーバ以外のIT機器がシャーシに集約されることは当たり前になった。ついには、ネットワークアプライアンスのブレードまで登場した。

[大神企画,ITmedia]

ブレードサーバはメンテナンス性が高い

 ラックマウントサーバを運用する際、労力を強いられるのがラック背面のケーブリングだ。サーバコンピュータに接続しなければならないケーブルは、電源、ストレージ、ネットワーク、KVMなどたくさんある。しかも、電源やネットワークが冗長化されていれば、その2倍の数(あるいはそれ以上)のケーブルを取り回す必要がある。サーバの設置や設定をSIベンダーに委託した場合は整然としたケーブリングが行われるが、サーバ管理者が自身でケーブリングを行う場合は、後先のメンテナンスを考えず、つなげることだけを優先してしまいがちだ。その結果、サーバの背面は、まるでスパゲッティが絡みついたような有様になる。

 ブレードサーバの導入は、このようなラックマウントサーバのメンテナンス性の悪さを解消するという点でもメリットがある。黎明期のブレードサーバには、背面がすっきりしていないものも存在していたが、製品が進化するたびに欠点を克服。現在はどのサーバベンダーのブレードサーバも、冗長化された電源ケーブルはシャーシにつながる2本だけ、LANケーブルはシャーシに内蔵されたスイッチを介するなど、いたってシンプルなケーブリングを特長としている。例えば富士通では、同社のラックマウントサーバ「PRIMERGY RX200」10台をブレードサーバ「PRIMERGY BX620」10台に置き換えると、ケーブル本数が87%削減できるとしている。この傾向は、ほかのサーバベンダーも同様だろう。

ブレードに内蔵されたネットワーク機器

 ケーブルの本数を見ても明らかなように、サーバコンピュータを物理的に集約するのに適したものとして進化を遂げてきたブレードサーバだが、最近はサーバコンピュータ以外のIT機器をシャーシに統合する方向へ動いている。

 最初に統合されたのが、LANスイッチだ。ブレードサーバのシャーシの背面には、必ずと言ってよいほどLANスイッチが内蔵されている。このLANスイッチはモジュール化されていることが一般的。ここには、エッジスイッチのさらに先にブレードサーバのLANスイッチが存在することを望まない場合に対応するため、単なるパススルーモジュールを取り付けることも可能。また、LANスイッチ以外にファイバチャネルのSANスイッチも内蔵できる仕組みになっている。

 LANスイッチは、サーバベンダーの自社製品のほかに、シスコシステムズなどの製品がオプションになっている場合がある。また、SANスイッチも同様に、シスコやブロケードなどのサードパーティ製品が用意されていることが多い。

 また、日本HPのように独自の機能を備えたオプション製品を用意しているサーバベンダーもある。HPの「バーチャルコネクト」は、物理的なMACアドレスやWWN(World Wide Name)を隠蔽し、ブレードサーバの構成変更に伴ってMACアドレスやWWNを設定しなおさなくてもすむというもの。パケット交換による単なる「仮想化」ではなく、サーバコンピュータに装着されているNICやHBAの物理アドレスを書き換えているため、転送速度のロスもない。なおHPは昨年11月、ブレードサーバが備える10GbE物理ポートを最大4つのポートに分割する「バーチャルコネクト Flex-10 イーサネットモジュール」を発表している。

 ちなみに、日本IBMが提供するソフトウェア製品「Open Fabric Manager」もバーチャルコネクトと同様の働きをする。こちらは、バーチャルコネクトのように専用ハードウェアモジュールとして提供されているのではなく、シスコやブロケード、ノーテル、キューロジックなどのスイッチ製品をサポートしており、使い慣れた環境のままで物理アドレス管理を簡素化できるのが特長だ。

Open Fabric Managerのアーキテクチャー(IBM資料より) Open Fabric Managerのアーキテクチャー(IBM資料より)

ネットワークアプライアンス型のブレードも登場

 ブレードサーバへのIT機器の集約は、LANスイッチやSANスイッチにとどまるものではない。最近、特に進みつつあるのが、ストレージをシャーシに集約するものだが、ブレードサーバにおけるストレージの動向については次回に詳しく触れたいと思う。

 ネットワーク機器では、ユニークな製品も登場してきた。日本IBMのブレードサーバ「IBM BladeCenter」は同一規格のシャーシに対応した多種多様なブレードを用意しているが、その1つとして2008年10月に発売された「IBM BladeCenter PN41」である。この製品は、米CloudShield社のDPI(ディープパケットインスペクション)アプライアンスをBladeCenterのシャーシに内蔵するブレードにしたもの。20Gbpsという広帯域ネットワークに対応し、トラフィックを高速で解析してウイルス感染、DDoS攻撃などのセキュリティ脅威に備える機能を提供する。

 IBM BladeCenterは、プラットフォームの仕様をオープンにしていることが特長だが、PN41はUltraSPARC T2プロセッサを搭載した米Themis Computerのブレード「T2BC」に続いての“オープン化の成果”である。企業システムのラックには、サーバやストレージだけでなく、多くのネットワーク機器も格納されている。ブレードサーバのシャーシにブレードがフルに入っていれば集積度は高いものの、ブレードに空きがあればそこは無駄なスペースになってしまう。このスペースを有効に活用しようというのが、こうしたアプライアンス製品をブレード化する発想につながっている。今後は、オープン化されているBladeCenterに限らず、サーバベンダーとサードパーティとの提携による同様のブレードが他社から登場してくるかもしれない。

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