企業IT最適化のゴールを目指す

改善サイクルを加速する「経験則とシステムの融合」Cosminexus V8 Review

業務のノウハウをすべてのスタッフが共有し、適切なロードバランスを得ることはなかなか難しい。Cosminexusではベテランのノウハウをそのまま手順化し、システムにも反映させることができる仕組みを提供している。

» 2009年03月30日 08時00分 公開
[友成文隆(日立製作所),ITmedia]

ビジネスと情報システムのギャップを埋めるのは「人」

 企業をとりまく環境の変化や業務の多様化にともない、これまで以上に業務効率・業務品質が求められている。一方、業務を支える情報システムは、その時々のテクノロジーと開発時の運用スタイルで個別に開発しているのが現状だ。

 業務を遂行する現場担当者にとっては業務の流れは変わる、変えたくなるものだ。しかし実際には情報システムは業務の変化に柔軟に追随できず、業務と情報システムの間のギャップが生じている状況下にある。このギャップを、業務を実行する人それぞれが、経験やノウハウに基づいた工夫で埋めている。

 例えば、ヘルプデスク業務を思い浮かべてほしい。経験の浅い担当者はマニュアルどおりの対応を実行するため、時には問題解決に時間を要したり、未解決のまま経過しているのに対し、ベテラン担当者は、経験則からマニュアルにない対応を加えて問題解決の糸口を探りあてている。また、ITを駆使して関連データを調査することで原因の特定を確実にするといった工夫で成果を上げている。

 このように現場では、解決能力の高いベテラン担当者に、より業務が集中してしまう傾向が顕著に現れている。ベテラン担当者のノウハウを、経験の浅い担当にいかに伝承し、業務を平均化していくかが管理者の課題である。この課題の解決を求められるのが情シス部門だ。各種ノウハウを吸い上げてシステムに反映できれば良いが、残念ながら、現場のことは現場が一番詳しいため情シス部門だけでは実現出来ないことも多い。その結果、いつまでたってもこの課題が解決されないでいる。

システム化が遅れてシステムと業務のギャップが生じる

業務マニュアルとシステムを一体化――業務ノウハウをシステムに即時反映

 例えば、ベテラン担当者の業務手順がそのままマニュアルになり、さらに情報システムにその手順が反映できるとしたらどうだろう。情シス部門がノウハウを吸い上げるプロセスや情報システムに反映する作業を抜本的に改善することが出来る。

 PCの画面に業務手順を表すフローチャートとガイダンスを表示して、一人ひとりの業務視点に立って、画面に誘導される方式にすることで、業務マニュアルとの一致性が保たれる。これまで現場の担当者は、必要な情報のリンクを謎解きのようにたどって試行錯誤していた。それが、マニュアル化されたフローチャートに誘導されながらタイミング良く表示されるガイダンスで「見える化」したナビゲーションに従うことで、効率良く確実に業務を遂行できるようになる。

 また、業務手順がシステム上のアクションに「見える化」されると、改善点をシステマチックに発見し、改善につなげやすくなる。改善を行うときには、現場の知識とノウハウがそのままシステムに取り込まれ、最も効率的で効果的なマニュアル化が同時に実現されていく。

 このようなシステムを実現できれば、マニュアル化されたフローチャートとガイダンスを共有することで、業務クオリティの底上げを継続的に無理なく実践することが期待できる。

現場の知識・ノウハウと情報システムの融合を実現する

 Cosminexusの業務ポータルでは、このように業務手順を体系化・共有するために、フローチャートとガイダンスという形式で業務を簡単に表現できる仕組みを提供し、現場の知識・ノウハウと情報システムの融合を実現する機能を用意している。

業務ポータル画面例

 この業務ポータルではWebブラウザベースのGUIエディタを使い、フローチャートやガイダンスで構成される画面を作ることができる。ドラッグ&ドロップでパーツや入力エリアを配置できるため、直感的な操作で作成が可能だ。

 画面遷移のコントロールはすべてCosminexusが行うため、画面開発者はフローチャートで業務の流れを描くだけで良い。画面作成時には、利用イメージそのままの形で画面作成ができるので、その場でデザイナー・開発者・利用者を交えたレビューと改善が可能になり、出来上がった画面と業務要件のギャップも少なくなる。

 また、この業務システムを利用すると、各フローの所要時間や、業務の流れとしてどのケースが多いかといった分岐方向を示すログを記録することができる。このログを活用して各フローチャートのボトルネック発見や業務フローの妥当性の検証に役立てることができる。そして、改善点が見えてくれば、前述のGUIエディタで簡単に画面に反映できるので、ベストプラクティス確立に向けた改善サイクルを素早くまわすことができるのだ。現場に存在する知識・ノウハウと情報システムの融合を実現する業務ポータルにより、知識・ノウハウを「蓄積」「利用」「改善」するサイクルを加速し、組織としての業務改善を支援できる。

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