コラム
» 2009年03月30日 06時37分 公開

職場活性化術講座:自ら信じる旗を立てよ――ITマネジャーに必要なこと (1/2)

フライシュマン・ヒラード・ジャパンSVP、パートナーで多摩大学教授の徳岡晃一郎氏は、40代のマネジャークラスの人に必要なのは、50代以上の人たち、30代以下の人たちとの「価値観のすり合わせ技術」だと話す。

[聞き手 大西高弘,ITmedia]

根源的な問いかけが今を変える

 徳岡晃一郎氏は、本コラム「職場活性化術講座」の執筆者。日産自動車で主に人事畑を歩き、現在は世界最大のコミュニケーションコンサルティング企業に勤務、大学で教べんもとる。多くの読者そして徳岡氏自身も、いま企業のあらゆる現場でとてつもない「地殻変動」が起こっていると感じている。それは金融危機から始まった不況からくるものだけでは説明がつかない、パラダイムシフトの予感だ。その変化は企業で働くビジネスパーソン1人ひとりに直接影響を及ぼす。徳岡氏は、以前からビジネスパーソンに向けて「シャドーワーク」の効用を説いてきた。シャドーワークとは、会社での日常業務にとらわれない非公式なプロジェクト活動ともいうべきもので、氏はそうした活動をいかに本業の仕事にフィードバックするのか、という研究を続けている。そんな徳岡氏にインタビューし、大きな変化の時代の淵に立っている企業のマネジャーが、今後どんな取り組みをしなくてはならないかを探る。


ITmedia 今、1980年代後半に入社した人たちが大きな組織でも課長、次長クラスのポストを占めるようになりました。いわゆるマネジメント層での若手、中堅となっているわけですが、非常に厳しい時代になって、目標を見失いがちになっているように思うのですが。

徳岡 年齢的に言えば、40代の人たちですね。この世代は、ワークライフバランスといった考え方にも非常にしっくりとくる人たちですね。上の50代の人たちは、理屈としては分かるんだけど、しっくりは来ないケースも多いんです。やはり100%仕事に自分を捧げていきたい、そうすることでいい仕事もできるし、喜びも大きいと考えている人が多い。40代のマネジャーの目標喪失という話ですが、言い方を変えると、「内と外の目標がつながっておらず、分断している」ということなのではないでしょうか。

ITmedia 内と外というと会社の仕事とプライベートということですね。

徳岡 そうですね。会社では決まった目標がありますから、それは全力でやりますよと。売り上げとか具体的な数値目標ですね。これが外の目標。そして一方で自分の趣味とか個人的な勉強の目標。これが内です。この2つの目標はまったく別物で、リンクしないケースが多いようです。勉強会などに参加したりするけれど、それは仕事とはまったく別物だったりする。

ITmedia 仕事とは関係ない勉強をするというのはそれほど悪いことではないように思いますが。

徳岡 もちろんです。ただ、外の目標が会社の設定した何かの数値目標だけで、それを達成するためのテクニックとしてマネジメントのテクニックがあって、という状態だと、内の目標を持ってバランスをとっているつもりでも、どこか満たされない感覚になったりするわけですね。すでに多くの会社で米国式のマネジメント手法が入り込んでいます。それらをすべて否定するつもりはないですが、数値目標一辺倒だと、たとえ達成しようがされまいが、自分の仕事の意味付けがやりにくくなる。

ITmedia なぜ働くか、ということですか。

徳岡 目標数値を達成するためにどうすればいいか、という問題解決型の作業ばかりやっていると、自分やっている仕事は何の意味があるのか、という問いから遠ざかっていきます。内側の目標として、仕事とは関係のない目標を持っていたとしても、そこから仕事の意味付けに対する何らかの解が出てくるはずもない。

「新しい仕事の意味付けを加えていくことが個人と組織の活性化につながる」と語る徳岡晃一郎氏

ITmedia 確かに、そうした問いかけについて真剣にそれぞれのビジネスマンが考える時代になってきているのかもしれないですね。

徳岡 今の50代の人たちは、その上の世代から「おれたちはこうしてきたんだから、お前たちもそうしろ」と言われてきた人たちです。先輩のやり方を学んで工夫を加えてより大きな成果を上げるということを経験してきた人たちです。ところが、今はそれが必ずしも通用しない。そんな時代にマネジャーになると、目の前の目標を追いかけるだけで精いっぱいになってしまう。深みがないんですね。ここにきて、米国式のマネジメント手法だけを追いかけていて、時代の大きな変化についていけるのかという疑問がいろいろな人から出ていますね。日本式マネジメントといっても、ごちゃごちゃしていて明確になっていないところもありますけど、一度立ち止まって、別の角度から仕事を見直すということでは、役に立つ部分が非常に大きいのではないかというわけです。

ITmedia マネジメント手法として再構築する必要があると。

徳岡 再構築しないまま、ずるずるやってきてしまった。米国式のマネジメント手法にずーっとよりかかっていって現場で進めていくと、仕事をする意味なんて考える余裕もないから、マネジメントも単なるテクニックになってしまう。単なるテクニックに素直についていく若手なんていませんよ。そうなると心が通じ合うなんてこともないから、マネジャーも充実感を感じることもない。じゃあ、会社の中では数字をおいかけることだけに徹しよう、プライベートで何かの満足感が得られればいいや、という発想になる。でも、仕事はしているわけですから、しっくりこない感覚はずっと残るわけですね。

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