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» 2009年04月01日 08時00分 UPDATE

学生の意欲が花咲く「機会」を与えたい:Imagine Cup 2009に挑む文“プ”両道の若きイノベーターたち

マイクロソフトが主催する学生向けのイベントセミナー「The Student Day」が目黒雅叙園にて開かれた。学生たち自身が創り出したさまざまなソリューションの紹介などを中心に、次世代のIT技術者を生み出す教育支援の模様をフォトレポートとしてお伝えしよう。

[野口優,ITmedia]

 快晴に恵まれた3月30日、目黒雅叙園にてマイクロソフト主催の学生向けイベント「The Student Day」が開かれた。教育支援によって生まれた学生発のソリューション紹介や、IT技術力を競い合う「Imagine Cup 2009 日本大会」も同時に開催されるなど、コンピューティングに興味を持ち、取り組んでいる学生には刺激の多い内容ばかりの1日となった。

The Student Day キーノート

 13:00の開演では、まずキーノート1として「テクノロジーがひらく新しい世界」が、マイクロソフト 最高技術責任者の加治佐俊一氏によってスタートした。すでにこのThe Student Dayは6年をこえる取り組みを続けてきており、新規事業支援の「BizSpark」や学生支援の「DreamSpark」、全国高専ITキャラバンなど、次のイノベーションの創出に向けて「機会」を与えていくことが重要だとビジョンを語った。

tsd2009_01.jpg マイクロソフト 最高技術責任者 加治佐俊一氏によるキーノート
tsd2009_02.jpg マイクロソフトは「機会」を与えることで支援を行っている


 引き続きキーノート2「組み込み開発教育の現状と将来」と題して、マイクロソフト Windows Embedded Business シニアエグゼクティブ プロダクトマネージャの松岡正人氏が講演した。組み込み開発を取り巻く状況、そして機器におけるWindowsの普及や活用、それらを具体的に多くの調査数字で表しながら話は進み、支援活動の1つとして「エンベデッド フォーラム」が紹介された。実践活動のインフラとして設立されたこのフォーラムから、ボードリーダーとして電気通信大学 大学院情報システム学研究科 准教授 笠井裕之氏が登壇、今後の展開を述べたところで、セッションは終了した。

tsd2009_03.jpg マイクロソフト Windows Embedded Business シニアエグゼクティブ プロダクトマネージャ 松岡正人氏によるキーノート
tsd2009_05.jpg 電気通信大学 大学院情報システム学研究科 准教授 笠井裕之氏によるエンベデッド フォーラムの説明
tsd2009_04.jpg 組み込み開発を支援する「エンベデッド フォーラム」参加者

Imagine Cup 2009 日本大会

 休憩を挟み、14:30過ぎからは2つの会場に分かれ、1つは「Imagine Cup 2009 日本大会」が、もう1つはたった今紹介された「エンベデッド フォーラム」がそれぞれセッションを開始した。Imagine Cup 2009の日本大会には次の3チームが代表候補としてエントリーされ、この会場で最終プレゼンテーションを行い、審査の後、日本代表が決定される。

  • 同志社大学:チーム名「Mammy」、作品名「Mammy」
  • 同志社大学:チーム名「NISLab++」、作品名「Polybook」
  • 弓削商船高専:チーム名「White Dolphin」、作品名「Heartful Assistant」

 今回のImagine Cupは「テクノロジーを活用して世界の社会問題を解決する」がテーマとなっており、各チームとも個性的な着眼点、独創的なソリューション、よく練られたプレゼンテーションによって、制限時間10分の中、質の高い戦いが繰り広げられていた。

Imagine Cup審査基準
同志社大学「Mammy」 同志社大学「Mammy」:「貧困や飢餓の撲滅には世界的な連携が必要である。そのためには初等教育で異文化があることを知り、お互いを認めあえる環境を生むことが大切である」との視点で開発された「Mammy」。手書き絵のスキャンとピクトグラムを組み合わせ、世界中の子供たちがストーリーを生み出し、デジタル絵本として共有、相互理解を深める狙い。
同志社大学「NISLab++」 同志社大学「NISLab++」:「貧困のため教育を受けることのできない子供がいる。その一方でインターネット上には集合知によって普遍的な教育素材ができあがっている。これをつなげたい」という想いから生まれた「Polybook」。いわゆる電子教科書であり、100ドルPCを活用すればトータルでは紙の教科書に対しコストも有利になるという。
弓削商船高専「White Dolphin」 弓削商船高専「White Dolphin」:「妊産婦の健康改善と出産死亡率の引き下げにはモニタリングと異常発生に対しての早期対応が不可欠」だとして、経産婦や医療ボランティアを中心とした健康監視・対応システムが「Heartful Assistant」。専用モニタ機器と普及率の高い携帯電話を組み合わせることで利便性とコストの解決を図っている。

特別展示

 セッションの休憩時間には、会場外に設けられた各種展示が賑わっていた。Imagine Cup参加の他のチームのソリューションをはじめ、学生によるソフトウェアそしてハードウェアの出展、Microsoft Innovation Awardを受賞した企業ソリューション、そしてもちろんマイクロソフト自身からの出展も含め、実にさまざまな種類のコンピューティングによる可能性が感じられるものだった。

tsd2009_10.jpg 詫間電波工業高等専門学校によるデジタル影絵「写動」。アナログをデジタルで表現しなおすことで何ができるだろうか、と考えていったときに生まれたという。
tsd2009_11.jpg スクリーンの前後から映像を投影し、影になった部分でも映像が写るなどユニーク。映像に干渉することで操作も可能で、プレゼンテーションやプロモーションのツールとして展開を考えているという。
tsd2009_12.jpg マイクロソフトとベネッセコーポレーションの協力による「ロボットを創ろう、動かそう」プログラム。実際にロボットを組み立て、動かすことを通して学ぶことの意欲を持ってもらうのが狙い。
tsd2009_13.jpg カリキュラムに参加した生徒のほとんどがプログラム続編の参加を希望するなど、これからが楽しみな結果となっている。当日は西武学園文理と宝仙学園が展示に参加。
tsd2009_17.jpg Imagine Cupに参加した、その他の学生ソリューション。同志社大学からは「EduC」と「T-semi」、筑波大学付属駒場高等学校からは「GIJUN」がそれぞれ出展される。
tsd2009_18.jpg 東京大学と北陸先端科学技術大学院大学は共同で「EMET」を出展。来場した学生や講評者たちの間では、活発な質問や会話、そしてデモの実行などがなされていた。
tsd2009_14.jpg チェプロによるWebシステムアーキテクチャ「WAO」。クラウドやWebアプリケーションによる弱点(履歴移動によるキャッシュ消え、レスポンスの速度)を独自技術によるネットワークテクノロジーで解決し、クライアントサーバー型システムに引けを取らないインターネットシステムを構築する。
tsd2009_15.jpg ナルボによる業務プロジェクト管理ツール「プロジェクト管理EX」。情報の共有、一元化が重要とは理解していても、煩雑で手間のかかる更新がネックとなることが多い。これをマウス主体のインターフェースに変え、操作性を簡便にし、クリックだけで各種プロパティの記入や閲覧ができるように設計。今後の工事進行基準にも対応。
tsd2009_16.jpg Microsoft Innovation Award 最優秀賞受賞のジースポート「ゆがみーる」。腰や膝など、測定部位にマーカーの付いたバンドを巻き、専用マット上でカメラ撮影。PCに取り込まれた画像のマーカー部分をクリックするだけで、姿勢のゆがみや筋肉の張り緩みなどがレポートされ、さらに改善に向けた対処方法やアドバイスまでが導かれる。

Imagine Cup 2009 日本代表の決定

 The Student Dayも終盤、17:00ほどには先ほどのプレゼンテーションの講評結果が集められ、Imagine Cup 2009 日本代表の発表が行われた。緊張の面持ちで参加3チームと講評者が壇上に並ぶ中、代表に決定したチームは、同志社大学NISLab++。また、それぞれ2位は弓削商船高専White Dolphin、3位は同志社大学Mammyとなった。

tsd2009_19.jpg
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 講評者の東京大学情報理工学系研究科 教授 竹内郁雄氏からは「どれも非常に意欲的でいい戦いだった。見事1位となったNISLab++にはそれだけの力はあるが、しかし世界大会に向けてはまだまだ弱い面も多い。今回、電子教科書であるPolybookは、紙ではないデジタルならではのメリットにもう一歩踏み込んだ何かが欲しい。コンピューティングにおけるパラダイムシフトを示していかないと、Imagine Cup世界大会で勝つことは難しいだろう」と、厳しい言葉ながらも、より豊かな発想を学生たちに期待する想いが伝わってきた。

 世界大会の行われるエジプトに向けて、日本代表として戦うことになったNISLab++からは「僕たちは前回の世界大会も参加したが、残念ながら一回戦敗退といった結果に終わってしまった。とてもくやしい思いをしたので、次こそはいい結果を出したい」と雪辱を誓う目の輝きが印象的だった。また、他の参加者からは「学校の勉強もプログラムの修得も両方をこなす、文武両道ならぬ、文“プ”両道が目標」との名言が聞かれ、彼らのコンピューティングにかける熱意がひしひしと実感できた。

 イベント最後には、来場者が全て参加しての抽選会が行われた。マイクロソフトの新マウスExplorer Mouseやゲーム機XBOX 360などが賞品として当たり、大盛況の内にThe Student Dayは幕を閉じた。さあ次は、Imagine Cup 2009世界大会のエジプトだ。

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