IIJ、2009年3月期は増収減益――SI構築分野は大口案件減少2008年度決算発表

IIJは5月15日、2009年3月期連結業績を発表した。

» 2009年05月15日 19時07分 公開
[ITmedia]

ネット接続事業は法人、個人ともに順調

 インターネットイニシアティブ(IIJ)は2009年3月期(2008年4月1日〜2009年3月31日)の通期連結業績を発表した。営業収益(売上高)は697億3100万円(前年同期比4.3%増)、営業利益は29億1700万円(前年同期比38.7%減)、当期純利益は14億2000万円(前年同期比72.6%減)となった。

 2010年3月期見通しについては、売上高730億円、営業利益33億円、当期純利益17億円を見込み、増収増益で2ケタ増益率を展望しているとした。

 発表の席上、鈴木幸一代表取締役社長は、「なんとか黒字に落ち着く形をとることができた。景気回復がいつになるかは、はっきりしないが、いまのところ製造業を中心に落ち込みが非常に激しい。予断は許さないが、在庫調整は予想よりも早く進んでおり、コストセーブを目指すユーザーに向けてサービス力をさらに強化していきたい」と話す。

 売上高が前年増となった理由については、インターネット接続、アウトソーシング、ネットワークシステム等の運用保守などの既存主要事業の売り上げが、堅調に推移したことが主な要因として上げられた。これらの事業の売上高は今期540億6400万円。1Gbps超の大口契約が順調に増加し、契約総帯域は継続的に拡大、IIJモバイルの受注回線数も増加しており、法人向け接続サービスの伸びは前年比8.2%、個人向けは同20.4%の増加となった。またアウトソーシングサービスは前年比12.2%増となり、迷惑メール対策などのセキュリティ関連サービスが堅調だという。

 一方、大型アプリケーション開発、ネットワーク構築などのSI事業分野の売り上げは減少しており、前年比で18.7%減となっている。この分野の今期売上高は146億5900万円。ネットワーク構築案件は比較的堅調な推移を示しているものの、大型アプリケーション開発案件は顧客の投資抑制の動きが顕著になっているという。

「ユーザーのITコスト削減意欲に応えていきたい」と語る鈴木社長

 ただし、SI事業の収益率は2008年度内において右肩上がりで推移しており、外注費などのコストコントロールをさらに進め、09年度も継続させていきたいとした。

 今期の当期純利益が大幅に減少したのは、前年にはプラス分として働いていた税効果会計での法人税等調整額が、6億3700万円のマイナスになったことが大きく影響しているとした。来年度の同効果はマイナス10億円程度を想定しているという。

 また、今期営業利益を圧迫した要因の1つに、新設4子会社の営業損失12億7200万円が上げられるているが、09年度はこれを10億円前後と想定しており、下半期に損失規模を縮小させていく方向だという。設備投資額は08年度は70億円だったが、来期は50億円程度を見込んでおり、子会社の設備投資負担も来期は軽くなる見通しだ。

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