Oracleを取り囲む有名人の思惑Oracle OpenWorld 2009 Report

米サンフランシスコで開催中の「Oracle OpenWorld 2009 San Francisco」には、Dellのマイケル・デルCEOや、Salesforce.comのマーク・ベニオフCEOなどの「有名人」が多く集結した。

» 2009年10月15日 03時22分 公開
[怒賀新也,ITmedia]

 米サンフランシスコでOracleが開催している年次ユーザーカンファレンス「Oracle OpenWorld 2009 San Francisco」には、初日のスコット・マクニーリ氏やジェームズ・ゴスリング氏などエンタープライズITの分野における「有名人」が多く集結している。2日目以降も、Dellのマイケル・デルCEOや、Salesforce.comのマーク・ベニオフCEOなどが登場した。ラリー・エリソンCEOがIBMを挑発する一方で、Oracleとの微妙な距離を保ちながらも良好な関係をアピールしている。

「人ではなくテクノロジーに仕事をさせよう」と呼び掛けたマイケル・デル氏

 10月13日に登場したのは米Dellのマイケル・デルCEOだ。「前向きなIT投資を」と呼び掛けるデル氏は、コストの低いx86系サーバによる企業情報システム構築をアピールする。Dellには以前、5つの受注管理システムと1万以上の社内アプリケーションが存在していたが、これを絞り込み、アプリケーション数を3500にまで減らしたと自社の事例を紹介。Dellサーバを用いた経営効率化を強調する。

 Oracleのグリッド技術は、キャッシュフュージョンと呼ぶサーバリソースのプール化技術が核になっており、「高性能で高価なサーバを1台買うよりも、Dellが提供する安価なサーバをたくさん並べることで大規模サーバと同等の機能を実現できる」という理屈が成り立っていた。

 だが、ここにきて、OracleによるSun買収話が持ち上がり、ハードウェアベンダーOracleが誕生してしまう。世界中に多数のユーザーを抱えるSunのSPARCサーバは、単純にいえばDellマシンとは逆をいく製品だ。その意味で、デル氏のセッションにラリー・エリソンCEOが登場し、握手して帰ったのは興味深い光景といえる。

Sunを武器にハードウェアでIBM対抗を打ち出したラリー・エリソンCEOは翌日、デルCEOとも握手した

Salesforceユーザーが増えるほど……

 もう1人の大物は、米Salesforce.comのマーク・ベニオフCEOだ。9月15日に東京で開催した「Cloudforce Japan」において、「SAP、Oracle、Microsoftはもう古い」と言い放ったばかり。だが、さすがにOracleのイベントではこうした発言は飛び出さなかった。

講演に登壇したベニオフ氏。マイケル・デル氏もゲストとして登場した

 「Salesforceユーザーが増えるほどOracleは儲かる」

 この日、ベニオフ氏はこう話し、自社とOracleが良好なビジネス関係にあることを強調した。CRMをはじめとしたアプリケーション部分とプラットフォームビジネスにおいては競合する可能性がある両社だが、Salesforceのデータセンターを構成するのはOracle製品であるため、ベニオフ氏の言葉に嘘はない。

 ラリー・エリソン氏が何を発表するのか――。最後にして最大の目玉である14日最終日の基調講演を前に、米カリフォルニア州知事のアーノルド・シュワルツネッガー氏が飛び入り参加することが明らかになった。エリソン氏の発表について、Fusion ApplicationsのSaaS(サービスとしてのソフトウェア)版ではないかといった噂が飛び交うものの、確定的な情報は流れてきていない。

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