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» 2009年10月22日 15時51分 公開

法制化前夜:「FCCのネット中立性原則は明白な誤り」――VerizonのCEO

キャリア大手のVerizonは「パケットを区別できなければ緊急通信とスパムとの間で優先順位を付けることができないし、高速ネットワークへの投資に支障が出る」と主張する。

[Roy Mark,eWEEK]
eWEEK

 ネットワーク中立性原則の法制化と拡大に向けた米連邦通信委員会(FCC)の歴史的な投票の前夜、米Verizonのアイバン・サイデンバーグCEOはこの提案に対して「明白な誤りであり、デジタル世界にアナログ的アイデアを持ち込むようなもの」と批判した。

 FCCは10月22日に、通信事業者がブロードバンドサービスを差別なく提供し、ネットワーク管理ポリシーを透明化することを義務付ける新しいネットワーク中立性原則を承認する見込みだ。この原則では、Verizon、AT&T、Comcastなどのブロードバンドキャリアが自社のコンテンツを優先し、ほかのコンテンツプロバイダーが提供するコンテンツの配信を妨害することが禁じられる。

 FCCのジュリアス・ゲナコウスキー会長が9月21日に同氏の提案を発表して以来、キャリア各社はネットワーク中立性原則を拡大するというアイデアに反対して大々的なメディア攻勢を展開してきた。「ネットワーク管理をめぐる現状では、パケットを区別して扱わざるを得ず、FCCが中立性原則を承認すれば、高速ネットワークへの投資に支障が出る」というのがキャリアの主張だ。

 シカゴで開かれた「SUPERCOMM 2009」カンファレンスにおいて、サイデンバーグ氏は「パケットを区別できなければ、救急隊員の緊急通信や遠隔手術、遠隔医療のための心臓モニタリング、ビデオ会議などの通信とスパムとの間で優先順位を付けることができない」と述べた。

 さらにキャリア各社は、ネットワーク中立性規則はキャリアだけに適用されるのではなく、Googleなどのコンテンツプロバイダーにも適用されるべきだと主張する。米AT&Tは、Google Voiceが既存のネットワーク中立性規則に違反していると非難している。同サービスが一部の通話を遮断しているというのが理由だ。この行為はキャリア各社の統一規則で禁じられている。

 「ネットワーク中立性の支持者たちは、VerizonなどのネットワークプロバイダーとGoogleやAmazonなどのアプリケーションプロバイダーが、インターネットのエコシステムで根本的に異なる部分を占めていると主張する。すなわちこのエコシステムは、一方に“ダムパイプ”(単なるパイプとしてのネットワーク)があり、もう一方には“賢いアプリケーション”が存在するバイナリ世界だという認識だ」とサイデンバーグ氏は語る。「だが現実には、われわれがダムパイプを提供したことはない。また、インターネット上で商取引が盛んになるのに伴い、ネットワーク事業者が提供するサービス品質、信頼性、製品の差別化にユーザーがますます依存するようになる」

 新しいネットワーク中立性原則が最終的にFCCで承認された場合、「接続された世界に向けた前進が止まることはないにせよ、遅くなるだろう」とサイデンバーグ氏は危ぶむ。

 同氏はネットワーク中立性を激しく批判しているが、その一方ではFCCの行動を支持する手紙が同委員会に次々と舞い込んでいる。その中には、ネットワーク中立性を支持する30人のIT企業投資家が署名した手紙もある。世論および消費者保護団体もネットワーク中立性を支持している。

 「ネットワーク事業者がネットワークプラットフォームを閉鎖したり、特定の種類のコンテンツを優遇することによってアプリケーション市場をコントロールしたりすることを許せば、何百億ドルという規模の経済活動を行っている投資市場におけるイノベーションと投資活動が減退する恐れがある」とIT企業投資家たちの手紙は記している。「競争を求める明確な原則を提案したFCCの行動は絶対に正しい。オープンなインターネットを恒久的に保証するという約束は、投資、雇用、コンシューマーの利益を促進する完全に自由な市場をコンシューマーと先進企業にもたらすだろう。ネットワーク中立性原則は、有線、無線を問わず、すべてのインターネットアクセスネットワークに適用すべきだ」

 ゲナコウスキー氏の提案は、5人の委員で構成されるFCCにおいて民主党のマイケル・コップス氏およびミニョン・クライバーン氏の支持を得るものとみられる。ネットワーク中立性を支持する各団体は、10月22日に電話会見を予定している。FCCの行動を称賛する声明を既に発表した団体もある。

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