OracleのSun買収、欧州との合意を導く3つの作戦(1/2 ページ)

Sun買収をめぐるOracleの8カ月にわたる戦いが、ようやく終わりそうだ。情報筋によると、同社と欧州委員会の対立は解消され、合意は間近であるようだ。

» 2009年12月22日 11時45分 公開
[Chris Preimesberger,eWEEK]
eWEEK

 米Sun Microsystemsを買収するという米Oracleの8カ月にわたる困難なミッションが、いよいよ終わりを迎えようとしている。

 Oracleと欧州委員会の独禁法当局はまだ正式に合意したわけではないが、米eWEEKが信頼できる筋から得た情報によれば、両者の対立が解消され、合意は間近であるようだ。

 27カ国で構成される欧州連合(EU)の司法機関としてブリュッセルに本部を置く欧州委員会は来年1月27日までに、OracleによるSunの買収を認可するかどうかの決定を下す予定だ。買収が認可されれば、Oracleは総合的サービスを提供するシステムベンダーとして欧州で事業を継続することができる。

 欧州委員会が決定を発表するのは、期限ぎりぎりになる可能性が高いとみられる。

 認可をめぐって最大の障害となっているのが、Sunが2008年に10億ドルで買収したオープンソースのデータベース、MySQLをめぐる問題だ。欧州委員会は今年8月以来、買収承認を留保している。MySQLの開発が継続され、IT市場で公平に競争できることが保証される必要があるというのが表向きの理由だ。

 OracleのプロプライエタリデータベースがMySQLと直接競合することが多いという事実は、明白な利害の抵触に当たるとみる業界関係者は多く、この問題が最大の争点となっている。Oracleの創業者のラリー・エリソンCEOはもちろん、利益率の高い同社のデータベースにMySQLは直接競合しないと主張しているが、業界関係者の多くはそうは考えていない。

 12月10日と11日の非公開の聴聞会では激しい議論の応酬があったようだが、Oracleの法務チームは懐疑的な欧州委員会の独禁法担当者に意見を述べる機会を与えられた――「Sunの貴重な知的財産、とりわけ数億ダウンロードを記録した人気の高いMySQLは、買収完了後も安泰であり、市場は何も心配する必要がない」というのが彼らのメッセージだ。

流れを変えた週末の対話

 聴聞会を開催した欧州委員会のケーススタディ担当者たちは、Oracleの主張に納得したわけではない。それどころか、彼らはOracleの法務担当者を軽べつするような態度を示した。しかし聴聞会後にOracleと欧州委員会の競争政策担当幹部の間で行われた週末の対話の後、欧州委員会幹部はケーススタディ担当者たちの見解を覆し、同委員会の全般的な姿勢を軟化させた。eWEEKが得た情報によると、その後で最後の障害が脇に追いやられたようだ。

 この合意は広範囲に影響を及ぼすことになりそうだ。今年に入って1カ月当たり1億ドル以上の赤字を出してきたSunだが、エリソン氏によると、同社は潤沢な資金を保有する新しいオーナーの傘下に入ることで安全になるという。Sunの顧客は同社とのサービス契約が維持されるのを知って、ほっとするだろう。OracleはJavaの利権、そしてStorageTekほか多数の事業部門を手に入れることにより、ついに総合的なITシステム企業になる。そしてもちろん、OracleはMySQLのコードベースをコントロールし、全世界のMySQL開発者コミュニティーを管理する立場になる。

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