マイクロソフト、偽造品対策の新施策を導入へ

マイクロソフトは偽造品対策の一環として、Windows 7向けの新機能の導入と再生PC向けライセンスの販売に関する取り組みを始める。

» 2010年03月15日 15時04分 公開
[ITmedia]

 マイクロソフトは3月15日、正規製品の確認をPC利用者に促すWindows 7向け新機能「Windows Activation Technologies for Windows 7(WAT Update)」の提供と、再生中古PC向けライセンスの販売プログラム「Microsoft Registered Refurbisher プログラム(MRR)」の導入を発表した。いずれも偽造品対策の一環になる取り組みだという。

 WAT Updateは、従来提供してきた正規品の認証機能「Windows Activation Technology(WAT)」を強化して、Windows 7利用者向けにWindows Update経由で配布する(一部ユーザーには先行配布済み)。従来のWATでは同社サイトでプログラムなどをダウンロードする際に、PC利用者のOSが正規ライセンス品であるかをブラウザを通じて確認していた。

 WAT Updateでは、このプロセスにかかわらず一定期間ごと(期間は非公表)にWindows 7のPCが正規ライセンスで実行されているかを確認する。偽造品などが搭載しているWATの確認プロセスを回避するといった機能を実行させないようにしている。

 MRRプログラムは、2009年4月に導入した認定パートナー向けの再生中古PC向けライセンスプログラム「Microsoft Authorized Refurbisher プログラム(MAR)」の簡易版という位置付けで、5月に始める。MARプログラムは、再生中古PCの販売取扱量が多い事業者とマイクロソフトの間で直接契約を結ぶ形態になるが、MRRプログラムでは取扱量の少ない中小の販売事業者がマイクロソフト指定の代理店と契約し、Web上で再生中古PCのライセンスを購入する形態となっている。

MRRプログラムの利用プロセス(左)。MARプログラムとMRRプログラムの違い(右)

 またMARプログラムでは、新たに日本アイ・ビー・エムとメディエイターが参加。認定パートナーが購入する再生中古PC向けライセンスに、Window 7(Home PremiumとProfessional)とWindows Sever 2003を追加した。Windows Vista(Home Basic/Premium/Business)のPCで再生中古PC向けライセンスを購入する場合はWindow 7を購入することになる。

MARプログラムでの購入条件

 執行役法務・政策企画統括本部長で弁護士の伊藤ゆみ子氏は、PC利用者が偽造品を使うことで、著作権の違法やセキュリティ上のリスク(システム破壊やマルウェア感染)、PC操作時のトラブル、犯罪組織への資金提供などに関与してしまう危険に直面すると指摘する。

 同社では、これまで正規品を確認する技術的対策の導入やPC利用者への啓発、偽造品販売者の刑事告訴といった法的手段などの対策を進めている。MARプログラムなどの導入以降はオークションサイトへの偽造品の出品が減少に転じるなどの効果を挙げたが、偽造品の不正売買やPC利用者のトラブルを撲滅する目的で、今回発表した施策の導入を決めた。

 偽造品の不正売買では、従来はCD-ROMなどに不正なデータをコピーしたメディアとプロダクトキーなどをセットにして販売するケースが目立ったが、最近ではプロダクトキーのみや、ライセンスのラベル(Certificate Of Authenticity=COA)のみを販売するケースが多いという。

オンライン取引サイトでの偽造品の出品状況(ビジネス ソフトウェア アライアンス調べ)

 コマーシャルWindows本部長の中川哲氏は、特に再生中古PCの販売について、正規ライセンスで売買される場合にはPCに正規のバックアップ用メディアなどが同梱、もしくはMARプログラムやMRRプログラムを通じて販売事業者が購入した再生中古PC用のCOAラベルが本体で張り付けられていると説明した。

 再生中古PCの購入を検討する際には、「偽造品であればさまざまな危険に巻き込まれる恐れがあるので、正規ライセンスであるかどうかをしっかり確認していただきたい」と述べている。

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