コンピュータウイルスが人体に与える恐怖、「最悪のデマ」と専門家が非難

ペースメーカーなどの医療機器がコンピュータウイルスに感染する恐れはあるのか。

» 2010年05月27日 13時15分 公開
[ITmedia]

 英レディング大学の研究者が自分の手にRFID(ICタグ)チップを埋め込んでコンピュータウイルスを人体に感染させる実験を行い、将来的にはペースメーカーなど体内に埋め込む医療機器がウイルスに感染する恐れがあると警告した。このニュースがBBCなどで報じられたことに対し、セキュリティ企業のSophosは「人を不安に陥れる最悪のデマでしかない」と強く批判している。

 Sophosによれば、RFIDチップにソフトウェアのコードを仕込むことはできても、RFIDリーダーを使わない限り、そのコードが読み取られることはないという。さらに、RFIDチップのデータは読み取られるだけで「実行」はされないのが普通であり、リーダーに深刻な脆弱性が存在しない限り、ウイルスが展開することはできない。つまり、この方法でウイルス感染が広がる可能性は「まずない」という。

 同大学の研究者は以前から、RFIDチップを人体に埋め込むという話でメディアの注目を集めているが、「科学者はマスコミに注目されるために不安をあおるのではなく、自分の研究の発表方法に責任を持たなければならない」とSophos研究者のグラハム・クルーリー氏は語る。「RFIDチップを皮膚の下に埋め込むのは、上着に縫い付けるのと変わりはない」と指摘している。

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