ジェネシス、6年ぶりの顧客サービス管理ソフトウェア群の最新版発表

ジェネシスは、コンタクトセンターとバックオフィス業務との連携機能を強化した「Genesys 8」を発表した。

» 2010年06月03日 18時24分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 コンタクトセンター向けシステムベンダーのジェネシス・ジャパンは6月3日、顧客サービス管理ソフトウェア群の最新版「Genesys 8」を発表した。7月から出荷を開始する。

 Genesys 8では、コンタクトセンターと顧客サービスでのデータ処理などを担当するバックオフィス部門との連携を支援する機能が強化された。これにより、顧客接点となるコンタクトセンターのみならず、企業全体として一貫した顧客サービスを提供できるようになるという。

Genesys iWD Genesys iWDの機能イメージ

 構成モジュールの1つである「Genesys iWD」は、コンタクトセンターからバックオフィス部門に要求された業務依頼の内容を解析して、適切な担当者に業務を割り当てる。例えばオペレーターが顧客から受けたローン審査の依頼をバックオフィス部門に通知すると、Genesys iWDが依頼内容の難易度や担当者の状況を解析し、依頼内容を処理できるスキルを持った担当者に通知する。

 同社によると、多くの企業ではコンタクトセンターからの処理依頼をバックオフィス部門の担当者が個別に把握して、依頼された順番に処理を行っているという。バックオフィス部門が処理依頼の状況を一元的に把握・管理する仕組みがないため、処理に時間がかかるケースがある。問い合わせた顧客への対応が遅れることで、顧客満足度や信用の低下といった問題が発生してしまう。

 サードパーティーのスキル管理ツールやワークフロー品質管理ツールとGenesys iWDを連携し、ワークフロー管理システムとして、担当者の業務遂行の能力を把握できるようになる。この仕組みを導入すれば複数部門をまたいだ業務の流れを効率化でき、顧客に迅速で適切なサービスを提供できるようになるという。事前にワークフローの定義や分析のための数式を開発してGenesys iWDに登録する必要があり、同社が構築段階でこれらの作業を支援する。

 Genesys 8では、「Conversation Manager」という顧客管理モジュールを新たに搭載する。Conversation Managerは、顧客が企業にいつ、どのような手段で問い合わせ、応対者とどのようなやりとりをしたのかという履歴情報を1つの画面上で確認できる仕組み。顧客が問い合わせるごとに応対者が異なっても、企業として一貫したやりとりが可能になるため、「応対者ごとに話す内容が違う」といった顧客とのトラブルを回避できる。

和智社長 和智英樹社長

 同社が4月に実施したインターネットアンケート(有効回答1000人)によると、「企業に問い合わせる際に最も好ましい手段」として、80%が「オペレーターとの通話」を挙げたという。2番目に好ましい手段には、「Webでのセルフサービス/フォーム」「音声による自動応答(IVR)」がほぼ同数で並んだ。

 この結果について和智英樹社長は、「企業と直接会話がしたいと考える消費者が多いことが分かる。しかし、企業は応対するための人件費や時間を割かなくてはならず、顧客との会話を敬遠する傾向にあるようだ」との見方を示した。しかし、電話以外にWebサイトや電子メール、チャットなどで問い合わせる顧客が増えつつあり、欧米ではTwitterやFacebookから企業に問い合わせる顧客もいるという。

 「新製品は、音声やインターネットを通じたさまざまな顧客からの要望をシステムに集約し、企業が一元的に対応できるようにすること目指した。企業がコストをかけずに顧客との関係を深められるよう支援していきたい」と和智社長は話している。

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