中小企業のSaaSセキュリティ利用が拡大、メッセージラボが販売施策を説明

SaaS型セキュリティサービスを手掛けるメッセージラボは、中小企業のユーザー獲得に向けた販売強化策を打ち出した。

» 2010年06月24日 18時42分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 米Symantec傘下でSaaS型のセキュリティサービスを手掛けるメッセージラボ ジャパンは6月24日、市場動向と販売戦略に関する記者説明会を開催した。SaaS型のセキュリティサービスを利用する国内企業が増え、同社では営業・マーケティングの人員を強化している。

ビヨー・エンゲルハート氏

 Symantecのホステッドサービス部門でアジア太平洋地区バイスプレジデントを務めるビヨー・エンゲルハート氏によると、SaaS型メールセキュリティサービスを利用する企業は2010年1月現在で、英国が45%、オーストラリアが27%、米国が23%に上るという。日本は8%だった。

 このデータは英調査会社Backchannelの統計資料を引用したもので、同社では各国の企業のMXレコードの状況からメールがその企業に直接転送されるのか、セキュリティサービス会社を経由するものかを調べているという。企業のメールセキュリティサービスの利用実態を把握できる資料になるとしている。

 日本での利用は2009年7月の6%から増加したが、特に従業員数100〜499人規模の企業と500人以上の企業で著しく増加している。エンゲルハート氏は、「この傾向は英国では4年ほど前に、オーストラリアでは2、3年前に見られた傾向で、日本でも今年からセキュリティサービスを利用する企業が一気に増えるのではないか」と述べた。

 世界各国でセキュリティサービスの利用が広がる背景には、電子メールとWebサイトを使って企業のコンピュータをマルウェアに感染させようとする攻撃の増加がある。同社によると、電子メール全体の約9割がスパムメールであり、スパムメール全体の9割以上に不正サイトへのリンクが埋め込まれているという。コンピュータ利用者がスパムのリンクをクリックすると不正サイトに誘導され、マルウェアに感染してしまう。

 企業に届くスパムが増加すれば企業ネットワークを大きく圧迫し、ビジネスに大きな支障をきたす事態になる。企業が独自にスパム対策を実施するには限界があり、外部のセキュリティサービスを活用することで、セキュリティ対策における負担を軽減できる。特にIT専任の人材を配置するのが難しい中小企業では、セキュリティサービスの積極的な利用が望まれるという。

 同社ではサービス品質の維持に注力しているといい、特にスパムやウイルスの誤検知率を0.0001〜0.0003%に抑え、サービスの稼働率を100%で維持している。あるユーザー企業に新種のスパムが見つかれば、検出エンジンに情報を反映し、ほかのユーザー企業にもスパムであることを迅速に知らせる独自開発のシステムに強みがあるとしている。

同社のサービス実績

 同社が現在国内で提供するサービスメニューは、メールセキュリティとWebセキュリティ、メール暗号化の3種類。エンゲルハート氏は、海外で2011年以降に提供するオンライン型のバックアップとPCセキュリティサービスを国内でも提供する考えを明らかにした。

 サービス強化と併せてメッセージラボ ジャパンは4月から営業およびマーケティング体制の拡充を進めている。既に人員規模を倍増し、今後も増員を図るという。また、地方での同社サービスの販売促進を担う「アソシエイト」というパートナープログラムも発足した。カントリーマネジャーの山本誠治氏によると、各地のITサービス企業やコンサルタント、ITコーディネーターからの問い合わせが増えているという。

 「東北地方や北陸地方など、体制面で当社がこれまで十分にサービスを提案するのが難しかった地域から問い合わせがある。パートナー各社と一体になって中小企業のセキュリティ対策を支援していきたい」と山本氏は話す。

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