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» 2010年07月21日 08時00分 UPDATE

アナリストの視点:激化する価格競争――インターネット決済サービス市場はどうなるか (1/2)

インターネット通販やモバイル通販において、EC事業者と決済機関の間に発生する決済業務を代行する「インターネット決済サービス」の市場が拡大傾向にある。価格競争が激化する中、同市場のさらなる成長の鍵を握るのは、新規・既存EC事業者の取り込みである。

[坂田康一(矢野経済研究所),ITmedia]

アナリストの視点」では、アナリストの分析を基に、IT市場の動向やトレンドを数字で読み解きます。


インターネット決済のサービス形態

 経済産業省によると、日本国内のBtoC-EC(企業および消費者間の電子商取引)市場の規模は2けた成長を続けている。これに追随する形で、インターネット決済サービス市場も拡大している。

 インターネット決済サービスとは、インターネット通販やモバイル通販において、EC事業者と決済機関の間に発生する決済業務を代行するサービスを指す。決済手段としては、クレジットカードを筆頭に、コンビニエンスストア、ネットバンク・銀行ATM、電子マネーなどがある。同サービスでは主に、包括加盟店契約およびデータ処理サービスが提供される(決済サービス事業者によって呼び方は異なる)。

 包括加盟店契約では、決済機関との契約を決済サービス事業者が一括し、決済データや金銭はEC事業者と決済サービス事業者の間で授受される。EC事業者は個々の決済機関と契約を締結しなくても済む。そのため、規模の小さいEC事業者でも多彩な決済手段を取りそろえられる。

 データ処理サービスは、与信や売り上げ請求などのデータ処理に対して、EC事業者がサービス利用料を支払う形態だ。EC事業者と決済機関との間には、契約の締結や金銭の授受が発生する。

image 包括加盟店契約とデータ処理サービスのイメージ(出典;矢野経済研究所)

価格競争が激化 参入企業は方向性を模索

 事業者の売上高を基に推計したインターネット決済サービスの市場規模は、2008年度は213億円となっている。2009年度は237億円となり、前年度から11.3%の成長率を確保している。

インターネット決済サービスの市場規模推移と予測 インターネット決済サービスの市場規模推移と予測(矢野経済研究所推定)

 決済サービスの料金は、初期導入費用と月額基本料に加え、件数に応じたデータ処理料や、売上高に一定率を乗せた手数料が設定されることが多い。だが各社が提示する料金はあくまで「基本的な体系」であり、すべての案件には適用されない。

 決済は、EC事業者にとって「必要不可欠だがコストはできるだけ掛けたくない」という部分である。そのため、商談規模や競合状況を踏まえた上で、激しい値引き合戦が繰り広げられているのが実情だ。

 こうした状況に対し、決済サービス自体の規模の拡大を追求していく路線があり、他社にシステムの共同利用を提案するOEM形態のビジネスが展開されている。一方、決済以外の部分に付加価値を求める方向性も模索されており、代表的な事例としては「ECインフラサービスの展開」が挙げられる。

 ECサイトの開設や更新には、コンセプト立案やシステム構築、運営面におけるプロモーション、販売、決済、顧客管理などが必要となる。インターネット決済サービスは、この中の「決済」の業務負担を軽減するものだ。

 ECインフラサービスは、それ以外のステップや活動を含め、包括的にEC事業者を支援する。同サービスを展開する事業者は、インターネット決済サービスの業務範囲を拡大し、決済のみのサービスを提供する事業者と差別化ができる。「将来的には決済サービス0円もあり得る」という想定をすると、収益源のシフトを図る戦略とも言い換えられる。

価格競争を受けた今後の方向性 価格競争を受けた今後の方向性(出典;矢野経済研究所)
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