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» 2010年09月21日 16時24分 UPDATE

Oracle OpenWorld 2010 Report:OracleとSunの融合から生まれた新たな製品群は真に顧客に受け入れられるのか

Sunとの統合でシステムに必要なすべてのスタックを手に入れたOracleが繰り出す新製品群は、両社の融合によるメリットが前面に出るものとなった。

[谷川耕一,ITmedia]

 「Oracle OpenWorld 2010」2日目となる20日のキーノートセッションには、米HPの前会長兼CEOで先日社長に就任したばかりのマーク・ハード氏が登場した。ハード氏は、「今このステージにいることにゾクゾクしている」と言いつつも、堂々とした態度で講演の口火を切った。そして、先日発表されたばかりの直近四半期決算で純利益が20%増といった極めて良好なビジネスの結果となったことについて触れ、今後の状況について簡潔に説明を行った。特に彼が指摘したのが研究開発費についてだ。「2005年には研究開発費はおよそ15億ドルだったが、現在は40億ドルを超えている」とのこと。Oracleは研究開発に大きな投資を続けており、今後もこれが継続されることをステージの上から約束した。

oow2010_03.jpg 「今このステージにいることにゾクゾクしている」とマーク・ハード氏

システムをトータルで提供できるようになったからこそ実現できること

 基調講演のステージには、元Sun Microsystemsのエグゼクティブ・バイスプレジデントであり、現在はOracleのシステムズ担当エグゼクティブ・バイスプレジデントのジョン・ファウラー氏が登壇し、ハードウェアを中心としたソリューションについて講演を行った。「OracleとSunは、アプリケーションの能力をさらに拡大したい」とファウラー氏。そうすることで、クラウドコンピューティングにも対応でき、さらなる効率化と高可用性、高度なセキュリティが提供可能となる。この領域でOracleは他社を大きくリードしており、他社がなかなかまねできないソリューションを展開していると主張する。

 リードを確保できる大きな理由の1つは、Sunとの統合によりプロセッサからサーバ、ストレージ、さらにはその上で動く仮想マシンやOS、データベース、ミドルウェア、アプリケーションに至る、システムに必要なすべてのスタックが、1社の下にそろったことだ。「SunとOracleは同じころに株式上場を果たしており、両社には技術的に似た考えを持つ人がたくさんいた。以前は新しいアイデアがあっても、こういうアイデアがあるよと相手に伝えるに止まっていたが、いまは統合したことで新しいアイデアを実現するために、実際に一緒に実行できる環境ができあがった」とファウラー氏は言う。その結果がExadataやExalogicの誕生であり、Unbreakable Enterprise Kernelのように、高性能なLinuxカーネルを新たに生み出すことにつながったとのことだ。

 これらの製品は、ハードウェアとソフトウェアを1つのベンダーで提供しているからこそなし得たもの。どちらか一方しかなければ、実現はできなかっただろうとのことだ。ハードウェアからもソフトウェアからも技術的に歩み寄ることで、新たなアイデアが生まれる。そのことが、革新的な製品の誕生につながる。そして、すべてのスタックをトータルで提供できることは、さらなるメリットを生み出す。例えばセキュリティについても、システム全体としてセキュリティの担保を図っていくことが可能となるという。これがスタックごとに異なるベンダーから製品が提供されていれば、スタックごとにセキュリティ製品を選択し対策することになる。この方法では、なかなかシステム全体のセキュリティの担保は難しいとファウラー氏は指摘する。

oow2010_04.jpg 「ハードウェアからもソフトウェアからも技術的に歩み寄ることで、新たなアイデアが生まれる」とジョン・ファウラー氏

 システムに必要なものをフルスタックで提供するメリットは、機能や性能面だけでなくシステム運用管理の面でも優位に働く。例えば、何らかの不具合に対応するパッチの提供を考えても、メリットは大きいとのこと。ばらばらなハードウェアであれば、OSとの組み合わせごとにパッチを用意する必要があるかもしれない。しかし1社ですべてを提供することで、Oracleが責任をもって検証し、1つのパッチで対策できるようになる。これは、運用管理の効率を考えても大きな優位性であり、Oracle自体が顧客の手に渡る前に徹底的に検証を行えるので、不具合が発生する前にいち早く対策を施すといったことにも応用できる可能性がある。

 また、ソフトウェアの面からマイクロプロセッサの設計をコントロールできれば、OSやソフトウェア、さらにはセキュリティ面などにおいて、別々だった際には考えられなかったようなまったく新しい製品が生み出せるようになるとファウラー氏は自信を見せる。どんなに高性能なプロセッサが開発できても、それを十分に使いこなせるソフトウェアがなければ宝の持ち腐れだ。

 ソフトウェアからのアプローチで生まれたのが、今回新たに発表を行った「SPARC T3」というRISCプロセッサだ。Sunは2005年に8コアのRISCプロセッサをいち早く提供し、5年かけて他社がそれに追いついてきた。しかし、ここにきて16コアという革新的な製品を提供することで、再び大きくこの領域でリードすることになるという。

 高度なマルチスレッド処理ができるだけでなく、SPARC T3プロセッサには暗号化の機能がチップレベルで統合化されている。さらに、10GbpsのEthernetを活用できるようにも構成されている。これらにより、コストパフォーマンスを求められるエントリーレベルのマシンから、高度な信頼性が求められるハイエンドなマシンに至るまで、幅広くサポートできるとのこと。そして、SPARC T3は、本日発表されたSPECjEnterprise2010も含め、9つのベンチマークにおいて世界記録を獲得している。ちなみに、IBMの最新CPUであるPOWER7との比較では、ベンチマークの結果35%程度の性能優位性があるとのこと。SPARC T3プロセッサとこれを搭載するSPARC T3サーバモデルは、1カ月以内にユーザーへの提供が開始される。

 さらにファウラー氏は、Solarisについても触れた。「SPARCプロセッサの高性能を引き出すための根底にあるのがSolarisだ。われわれはSolarisについて今後も継続的に開発を続けていく」とのこと。そして、最新版となるSolaris 11についてもプレビューを行った。Solaris 11は2012年に登場する予定で、さまざまなエンタープライズ向け機能が大幅に強化されるとのこと。例えば、本番稼働を始めればパッチ適用の際などにも基本的にリスタートがいらなくなる機能などが追加され、それらは高可用性の確保の際に大きな優位性となる。さらに、ネットワークの仮想化機能などもSolaris 11に統合される予定だ。

 「今後、サーバに載るメモリ量は数Tバイトから数100Tバイトにまで拡大して行くだろう。そうなれば、小型のマシンでも数Tバイトのメモリを搭載できるようになる。その際には、バッチ処理していたものがリアルタイム処理になるかもしれない。また、コア数もどんどん増える傾向にあり、将来的には数千のスレッド処理というのも当たり前になるだろう。OS開発というのは、このようなハードウェアの大きな変化に対応するものでもあり、かなり挑戦的なものだ」(ファウラー氏)

 同社CEOのラリー・エリソン氏は「もっとたくさん、もっと速く処理しろ」と言っているとのこと。そのためにSolaris 11は開発されており、SolarisはOracleにとって引き続き重要なポジションにあるソフトウェアだとファウラー氏はあらためて強調した。

Oracle Exadata Database Machine X2-8登場

 この日、Oracle Exadataについても、バージョンアップ版の提供が発表された。前日にエリソン氏が自身のキーノートセッション中にほのめかしていたもので、ハード社長が再び壇上に現れ、この新製品「Oracle Exadata Database Machine X2-8」について紹介した。

 「Exadataは最も成功した製品だ」とハード氏。その成功したテクノロジーの上に、さらなる拡張を行うことで20〜30倍のパフォーマンス向上が図られているとのこと。その結果OLTPとデータウェアハウスの両方の処理を、1台のExadataで実行できる。X2-8は、合計128コアのインテルCPUおよび2Tバイトのメモリを搭載する2基の8ソケットのデータベースサーバを搭載する。そして、168コアのインテルCPUおよび最大336Tバイトのストレージ容量を搭載する14台のOracle Exadata Storage Serverを搭載できる。フラッシュメモリであるExadata Smart Flash Cacheは5Tバイトまで搭載可能であり、圧縮技術と組み合わせることで50Tバイトのデータをフラッシュメモリ上に置くことができ、これは圧倒的な性能の向上につながる。また、暗号の複合化のエンジンを今回新たにストレージ側に置くことでオーバーヘッドを最小化し、完全に暗号化されたデータベースでも1秒当たり数100Gバイトのクエリーを行う機能も提供される。

 この新たなExadataも「1社がハードウェアからソフトウェアまでを責任を持って提供することで実現したもの」とハード氏は言う。CEOのエリソン氏を筆頭に、2週間前にOracleに参画したハード氏も含め、すべてのOracleスピーカーがOracleとSunの統合の結果生まれた優位性を強調する。製品としては、確かに融合によるメリットが前面に出るものが完成しつつあるだろう。後はこれらの製品を顧客が実際にどのように受け入れるかで、OracleとSunの融合が真に成功したかどうかが決まることになる。

oow2010_05.jpg Oracle Exadata Database Machine X2-8(左)とOracle Exalogic Elastic Cloud(右)

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