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» 2010年11月09日 07時30分 UPDATE

デスクトップ仮想化が企業ITにもたらす変化――Citrixの見方

仮想化ベンダーのCitrixは、デスクトップ仮想化の導入を企業に訴求する。デスクトップ仮想化によって企業のIT環境はどのように変わるものなのか――。同社の事業責任者に話を聞いた。

[國谷武史,ITmedia]

 シトリックス・システムズ・ジャパンは11月8日、デスクトップ仮想化とクラウドコンピューティングをテーマにした記者説明会を開催した。米Citrix Systems マーケティング最高責任者兼上級副社長のウェス・ワッソン氏ら同社幹部が、デスクトップ仮想化とクラウドコンピューティングの展望と製品戦略について紹介した。

citrix011.jpg ウェス・ワッソン氏

 ワッソン氏は全体説明の場で、2012年にかけて予想される以下のトレンドを取り上げた。

  1. 2012年までに新規雇用者の半数以上がデスクトップおよびアプリケーションをサービスとして利用する
  2. デスクトップ仮想化は、セキュリティとコスト削減を取り巻く“ゲーム”を変える
  3. 2011年に企業でコンシューマー向けデバイスの著しい成長がみられる
  4. 大手のハードウェアメーカーはデスクトップ仮想化システムを展開する
  5. ユーザーとデスクトップの仮想化が契機になり、2011年はクラウドコンピューティングインフラの成長ペースが4倍になる
  6. 企業ITのアーキテクチャに“Secure by Design”という考えが浸透していく
  7. 企業のクラウドコンピューティングではハイブリットモデルの採用が主流になる

 ワッソン氏によれば、デスクトップ仮想化はクライアント環境のみならず、ネットワークやサーバを含めた企業のITインフラの在り方を大きく変えるもので、セキュリティやコスト削減といった企業が直面するITの課題を解決する手段であるという。同社ではXenDesktopやXenServer、NetScaler、Citrix Receiverといった製品や、クラウドインフラの管理、統合型ユーザー認証の仕組みといったソリューションを展開し、こうした予想の具現化に注力している。

 それでは、具体的にデスクトップ仮想化が企業のIT環境にどのような変化をもたらすのか。同社のデスクトップ部門プロダクトマーケティング担当副社長のスミット・ダーワン氏は、次のように紹介している。

デスクトップ仮想化はIT部門と業務部門の共同作業

citrix021.jpg スミット・ダーワン氏

 ダーワン氏によると、企業がデスクトップ仮想化に注目する理由は、デスクトップの運用管理コストの削減と、多様な業務環境の実現の2点になるという。日本を含めたアジア地域では前者を重視し、欧米では前者だけでなく後者にも重きを置く傾向にある。

 前者は、デスクトップ仮想化を企業に訴求するベンダー各社がこれまでに発してきた導入メリットでもあり、企業もこれを受けてデスクトップ仮想化の導入を検討するようになった。従業員に支給している多数のPCのデスクトップ環境をデータセンターに一元化すれば、OSやアプリケーションの管理、セキュリティ対策、障害対応に伴う作業などのIT部門の負担が軽減されるという理由だ。

 一方、後者のメリットはネットワークに接続できるデバイスであれば、PCやスマートフォン、タブレットといった種類を問わず、あらゆるデバイスでデスクトップ環境を利用できるようになるというものだ。デスクトップ環境を仮想化技術でイメージデータに変換すれば、ネットワークで配信できるようになる。デバイスに表示するものはイメージでしかなく、データそのものが外部に漏えいするといったセキュリティ問題が発生する可能性も低い。これにより、オフィス内でしか業務ができないという制約が解消される。

 こうした理由から、同社では今年に入ってデスクトップ仮想化製品の売り上げが急増しており、過去9カ月で500万以上のライセンスを出荷しているとのことである。ユーザー企業の多くは、中堅もしくは大規模企業であるが、業種による差異はないとしている。

 ダーワン氏は、多様な業務環境の実現にも重きを置く欧米企業の特徴について、IT部門と業務部門が共同でプロジェクトに当たるケースが多いという。デスクトップ仮想化のシステムを所管するのはIT部門だが、最終的なユーザーである業務部門の従業員がプロジェクトに参加し、両者が主体的に取り組まなければ、デスクトップ仮想化の導入を本当の意味で成功につなげるのが難しいという。

 同氏は私見と前置きした上で、デスクトップ仮想化とは企業のコンピューティング環境を一変させるものと話す。「デバイスやネットワークの制約を受けないデスクトップが実現する」(同氏)

 デスクトップ環境を利用するためのデバイスは、企業所有のPCから従業員個人が所有するPCやスマートフォンといったものになる。IT部門はデバイスの管理業務から解放され、デスクトップ環境をサービスとして従業員に提供することが新たなミッションになる。

 従業員は個人のデバイスでデスクトップ環境を利用する。その際、どのようなアプリケーションを利用するかといったデスクトップ環境の構築は、IT部門が提供するサービスメニューの中から従業員自身が選んで行う。IT部門が従業員のIT環境を丸ごと提供するのではなく、従業員が必要に応じて選択する「ITのセルフサービス化」が、デスクトップ仮想化による最も大きな変化であるという。

 デスクトップ仮想化は、クライアント周辺におけるITの主導権をIT部門から業務部門に移すことになるが、IT部門はより戦略的な業務の遂行が可能になり、その役割はますます重要性を帯びていくだろうとダーワン氏は話している。

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