デスクトップ仮想化とクラウド化の道を突き進むシトリックス

シトリックスは2011年度の事業戦略を発表。デスクトップ仮想化とクラウドのビジネスを「飛翔させる」(マイケル・キング社長)と表明した。

» 2011年02月25日 16時47分 公開
[國谷武史,ITmedia]
事業戦略を説明するマイケル・キング社長

 シトリックス・システムズ・ジャパンは2月25日、2011年度の事業戦略説明会をメディア向けに実施した。同社は2010年度を「デスクトップ仮想化元年」と位置付けていたが、2011年度は「これを飛翔させる年」(マイケル・キング代表取締役社長)と表明した。

 キング氏は説明会の冒頭、米Citrix Systemの2010年12月期業績が、売上高で18億7000万ドル(対前年比16%増)、純利益で2億7700万ドル(同145%)となり、過去最高を記録したことを報告。また、国内ではデスクトップ仮想化製品の販売が約6倍に増えたという。デスクトップ仮想化の普及に弾みをつけること、また、それに伴う基盤製品やサービスの販売拡大を目指すことを2010年初めに打ち出したが、それらの戦略が成功裏に終わったことを強調した。

 デスクトップ仮想化に注目する企業が多いものの、まだ試験導入の段階という企業が大半であり、本格的な普及フェーズは2011年以降とみられる。だがキング氏によれば、国内では部分導入から全社導入に踏み切る動きが徐々に広がっており、日本より2年程度早く市場が立ち上がったという米国では、ユーザー数が数十万規模という事例が珍しくなくなったという。

 「米国ではコスト削減のメリットが周知されたことで普及に弾みがついた。今の日本市場はこれと似た状況」(キング氏)。デスクトップ仮想化に対する米国企業の着眼点は、コスト削減から柔軟性や俊敏性の高い組織や業務環境を実現する方法に移りつつあり、日本企業でも近い将来、同じ傾向に移るだろうと予想する。モバイル端末の普及でPC以外でもデスクトップ環境を利用できるようになり、場所を選ばない働き方が広がるという。企業のITインフラもそれに呼応する形でクラウドの活用が進むと見ている。

 製品面では、XenDesktopやXenServerなどの仮想化基盤からNetScalerなどのアプリケーション配信基盤、マルチOS対応のクライアントソフトまで幅広い領域をカバーする。2010年はクラウド事業者向けのソリューションメニューを新たに導入し、システムインテグレーターおよびリセーラー向けのプログラムも強化した。2011年度は、これらの施策による効果を2010年度よりも引き出すことが柱になっている。

 同社にとって今なお課題とみられるのが、XenAppユーザーのXenDesktopへの移行だ。2010年2月にXenAppの同時使用ユーザーライセンスを2倍の数のXenDesktopユーザーライセンスに交換できる「トレードアッププログラム」を導入したが、今回の事業戦略説明会では「XenDesktop Trade-up」など4種類の追加施策を併せて発表した。

 いずれもXenAppからXenDesktopへの移行を支援するものだが、従来は「SA」(ソフトウェア更新サービス)が有効な場合のみを対象としていたが、今回はSAを失効している場合も対象に含まれる。新施策は、冒頭にキング氏が紹介したXenDesktopの全社導入の動きを一気に加速させたいとする同社の狙いがあるようだ。

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