自分が変えられること、できることに焦点を絞るオルタナティブ・ブロガーの視点

「人は多様な存在だと理解する」「感情は受け止め、思考をコントロールする」。何が正しいのか分からなくて不安になったときに持つと便利な視点や考え方を、オルタナティブ・ブロガー高橋誠氏が伝授します。

» 2011年03月28日 14時43分 公開
[高橋誠,ITmedia]

(このコンテンツはオルタナティブ・ブログ「点をつなぐ」からの転載です。エントリーはこちら。)


 大震災の発生から約1週間経ち(編集部注:元エントリーは3/18に書かれました)、テレビ番組や新聞の紙面もだんだん通常のパターンに戻ってきましたが、まだ被災地で大変な日々を過ごしている方々もたくさんいます。被災地以外でも、原発の問題や停電、交通状況などでなかなか普段通りに動けず、デマも含めていろいろな情報が飛び交い、何が正しいのか判断できず、今後どうなっていくのか不安をぬぐえない方々が多いと思います。

 こういうときは、物事に対してどういうとらえ方、考え方をするかが大事だと思っています。考え方は人それぞれでみんな違いますが、どのような視点や考え方を持つのがよさそうなのかを、この機会に考えみてはいかがでしょうか。参考までに、私がどのような考え方を心掛けているかを書いてみます。

 人間は本質的には善良だけど、弱いところもあるし、矛盾も抱えた多様な存在である

 完全な人などいません。どんな人でも間違いや失敗を犯します。また感じ方、考え方も人それぞれです。デマを飛ばす人、買い占めに走る人、原発が不安で疎開する人などいろいろいて不思議ではありません。

 感情はそのまま受け入れ、思考をコントロールする

 感情は自然に湧いてきてコントロールしにくいものです。被災地の悲惨な状況を見て、悲しさや自分には何もできないという無力さを感じたり、デマを飛ばす人たちに憤りを感じたりするのは当たり前です。ネガティブな感情だからといって、それを無理に抑えたり無視したりする必要はありません。感情に対して肯定も否定もせずそのまま受けとめることです。一方、思考はコントロールできます。感情を受け入れたところで、流されてしまわず、客観的に見つめながら、それに対してできるだけポジティブに考えることです。

 自分が変えられることと変えられないことを区別し、変えられないことは静かに受け入れる

 例えば、一般人にとっては、原発がどうなるか停電するかどうかなど、いくら心配したり批判したりしたところで、状態を変えることはできません。また他の人の行動を批判したところで、その人の行動や考え方を直接変えることはできません。自分が変えられないことにエネルギーを使うのはもったいないので、そういうものだと静かに受け入れることです。

 自分が変えられること、できることに焦点を絞る

 例えば、原発の問題について、自分が直接状況を変えることはできなくても、いろいろ情報を調べて理解し、自分がどう行動すべきか判断することはできます。他の人の行動を直接変えることはできなくても、こういうときにはこうしたらいいのではという情報を発信して、考えるきっかけを与えることはできるかもしれません。もちろん節電したり、義損金を送ったり、仕事を一生懸命したり、できることはいっぱいあるはずです。特に、自分の強みや得意なことを生かして、社会のために何ができるのかを考えて、行動に移すことが大事だと思います。

 正しさにこだわり過ぎない

 現在直面している問題は、学校の問題と違って、どこかに正解があるというものではありません。また、いろいろ飛び交う情報の中で、何が正しいのか判断するのはとても難しいことです。ですから、正しさにこだわり過ぎず、できるだけいろいろな視点から見ていくことが大事です。間違っていると思うことがあっても、むやみに非難や批判はせず、建設的な意見を出す姿勢を持つことです。自分が行動するためには、ある程度、こうしたらうまくいくのではという仮説を立てて、それに沿って行動し、その結果を検証して修正し、試行錯誤しながらやっていくしかないと思います。

 以上は、私が心掛けている考え方で、これがすべてではないし、これが正しいということでもありません。1つの考え方として参考にしてもらえたらと思います。

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