「ゼタバイト」のインターネットが間近に、シスコがコアネットワーク製品を強化

2015年までに世界のIPトラフィックが「ゼタバイト」に到達すると予測するシスコは、これに対応するとした通信事業者向けの製品戦略を発表した。

» 2011年06月28日 16時44分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 「1ゼタバイトとはHDビデオを3万6000年間視聴し続けるデータ量の1000倍」――シスコシステムズは6月28日、通信分野のサービスプロバイダー向け事業に関する記者説明会を開催した。増加の一途をたどるインターネット通信に対応するための製品戦略を発表した。

 説明会の冒頭、サービスプロバイダー事業担当副社長の堤浩幸氏は、2010〜2015年の世界のIPトラフィックが年平均32%のペースで増加し、2015年に81ゼタバイト(10の21乗)に達するとの同社予測を紹介。スマートフォンやタブレット端末などの急激な普及に加えて、これら端末で高品質なマルチメディアデータの取り扱いが増えていることや、企業を中心としたクラウドサービスの利用拡大が背景にあるという。

IPトラフィック動向の地域別予測

 さらに堤氏は、サービスプロバイダーがこうした市場環境の中で、ネットワークシステムの増強とサービス品質の向上を限られた投資で実現しなければならないという課題に直面していると指摘。同社ではサービスプロバイダーの収益機会の向上とコスト削減を両立させる形で、将来に求められるネットワークサービスを実現する仕組みを提供していくと表明した。

 その一環として、同社ではアグリゲーションサービスルータ(ASR)製品の「ASR 9000シリーズ」を強化。大規模環境向けの「ASR 9922」やネットワーク統合部分向けの「ASR 9000v」をラインアップに追加し、ネットワーク仮想化技術の「Cisco nV」を実装するという。

 ASR 9000シリーズで構成されたネットワークシステムは、1システムで最大96テラバイトのトラフィックに対応。Cisco nVによって柔軟性の高いトラフィック処理が可能になるほか、IPv6への移行もスムーズに行えるとした。ソフトウェアアップグレードなどによってシステム拡張も容易に行える点が特徴で、米Cisco Systems サービスプロバイダー ビジネス アジア太平洋・日本担当最高技術責任者のアレックス・ジニン氏は、「年間の運用コストを最大70%削減できる」と語った。

ASR 9000シリーズ強化の概要

 ASR 9000シリーズは500社以上の採用実績があり、導入企業では必要限度のコストで既存のネットワークシステムを強化できるという。「国内でも大手とされる事業者の多くが導入しており、今回の取り組みで“次世代”と呼ばれるような新しいインターネットの実現を目指したい」と述べている。

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