【最終回】中堅・中小の飛躍に向けてまるごと! 中堅・中小企業とIT経営(1/2 ページ)

いよいよ最終回となった本稿では、中堅・中小企業が変革し、ビジネスを成長させるために何をすべきかについて論じる。

» 2011年10月13日 08時30分 公開
[春日丈実,三菱UFJリサーチ&コンサルティング]

 前回は、中堅・中小企業がIT導入をするときに、「やるべきこと」を整理した。本連載の最終回では、中堅・中小企業の企業変革にITを活用するためのポイントをお伝えする。

環境変化への対応

 企業経営は突き詰めれば環境変化への適応が出来るかどうかである。環境の変化は突然やってくる場合もあるし、ゆっくり進む場合もある。外部環境も内部環境もある。ある程度予測可能なものと、まったく予測できないものがある。今年3月11日に発生した東日本大震災はある程度予測はしていたかもしれないが、外部環境の変化が突然やって来た例であろう。地震のみならずその後の津波、さらには原子力発電所の事故による放射能被害まで想定していた企業は少ないのではないだろうか。

 ゆっくりと環境の変化が進む例としては、日本の人口構造がある。この環境変化は企業における外部環境、内部環境の両方に影響がある。人口問題研究所 の推計によれば、2030年には15〜64歳の人口は2010年に比べて約83%になるという。8149万人が6740万人となり、今から20年弱で約1400万人も減ってしまうのだ。人口減の影響は大企業のみならず、中堅・中小企業を含めて全ての企業が受けることになる。企業では働く従業員が減ってしまうだけでなく、商品やサービスを購入したり利用したりしてくれる顧客も減ってしまうので、マーケット自体が縮小する。このような環境変化に対して企業はどのような対応をするべきであろうか。

 (図表1-1)を見ていただきたい。これは企業が環境変化に対応する基本的なサイクルを表したものである。この流れに沿って説明していく。

(1)まず企業がしなければいけないのは、「変化の認識」をすることである。企業が環境変化を認識しなければこの次はない。

(2)次に「影響分析」だ。変化を認識したとして、自社にとってその変化というのはどういった影響が出るのかを分析するのである。

(3)そして「変化への対応」となる。変化の認識、影響分析を通して、自社にとって大きな影響のあるものに対応していくのである。

図表1-1 環境変化に対応する基本的なサイクル 図表1-1 環境変化に対応する基本的なサイクル

 このサイクルは大企業、中堅・中小企業を問わず、どの企業でも行っているはずである。ルール化したり、細分化したり、サイクル頻度を変えたりしているのだ。組織的に行っている企業もあれば、経営者1人で実施している企業もあるだろう。筆者はここが企業変革への第一歩であると考えている。このサイクルをうまく回せるかどうかが経営者の重要な仕事の1つであり、企業変革を促すことになる。

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