東北大と富士通、3次元の津波シミュレーション技術の共同研究に着手

東北大の今村文彦教授が開発した2次元の津波伝播シミュレーション技術と、富士通が開発した3次元流体シミュレーション技術を連携させた新技術を開発する。

» 2012年02月21日 11時57分 公開
[ITmedia]

 東北大学と富士通は2月21日、3次元の津波シミュレーション技術の共同研究に着手すると発表した。市街地での浸水や河川の遡上、鉄筋コンクリート製の建物に及ぼす力などの解析に役立てることを目標にしている。

 共同研究では東北大学大学院工学研究科附属災害制御研究センター長の今村文彦教授が開発した2次元の津波伝播シミュレーション技術と、富士通が開発した大規模並列コンピュータ用の三次元流体シミュレーション技術を組み合わせ、3次元の高精度な津波シミュレーション技術を開発する。

 富士通によれば、3次元による津波のシミュレーションを行うには、500台のPCを利用した計算でも5日間ほどかかるといい、これまでほとんど行われていなかった。2次元によるシミュレーションは、津波の海岸部への到達時刻や波高の計算で活用されているが、都市での浸水や河川遡上を扱うには、津波が近海部の地形などの影響で複雑に変化することから予測には限界があった。

 富士通の三次元流体シミュレーション技術は流体を粒子で表現できるが、これまでは波が伝播していく中で減衰してしまうという課題があったという。神戸製鋼所と共同開発した新技術でこの減衰を抑制することが可能になり、津波の形状が激しく変化する様子を分析できるようになったとしている。これに今村教授が開発した技術を活用し、津波防災に役立てることを目指す。

関連キーワード

津波 | 富士通 | 東北大学 | 流体科学


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ