米研究チームが無人航空機の乗っ取りに成功、スプーフィングでGPSに侵入

テキサス大学の研究チームは偽の情報を送り込んで管制用のコンピュータを制御し、無人機を操った。

» 2012年07月03日 07時25分 公開
[鈴木聖子,ITmedia]

 テキサス大学の研究チームが無人飛行機のGPSシステムに侵入し、無人機を乗っ取ることに成功した。米国のメディア各社が伝えた。

 テキサス大学のラジオ局KUTによると、同大学無線航空研究所のトッド・ハンフリーズ教授のチームは米国土安全保障省の招きを受け、無人機のGPSシステムのセキュリティを検証する目的で実験を実施。1000ドル以下の機器を使って乗っ取りに成功したという。

 Fox Newsによれば、研究チームが使ったのはスプーフィングと呼ばれる技術で、偽の情報を送り込んで管制用のコンピュータを制御。衛星から送られてくる信号よりも強い信号を使って無人機のGPSシステムに侵入し、コンピュータに命令を送って無人機を操った。

 米国では民間が郵便配達などの目的で無人機を使うことを政府が認める方針だといい、今回の実験でその計画に大きな落とし穴があることが実証されたとFoxは報道。ハンフリーズ教授は「あと5年か10年もすれば3万機の民間無人機が上空を飛行するようになる。その各機がわれわれに対するミサイルになりかねない」とコメントしている。

 この実験と関連してChristian Science Monitor紙は、イランが昨年12月に米軍の無人偵察機を墜落させた際に使ったのもスプーフィング技術だったと報じている。

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