“脱・属人化”を目指し、情報共有基盤を刷新した明星大学学内コミュニケーションに変化あり!(2/2 ページ)

» 2012年09月06日 11時00分 公開
[伏見学,ITmedia]
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この通知内容は重要なのか

 明星大学では、2009年春から商用のグループウェアを検討し始め、数社の製品に絞り込んだ。検討のポイントは、機能と価格。機能に関しては、ポータル、スケジュール管理、施設予約という既存システムに備わっていたものに加え、新たに連絡通知機能を必須条件とした。

 その背景について小峰氏は、「今まで、教職員全員に連絡事項などを伝える手段としてメーリングリスト(ML)を活用していた。ところが、メンバーが入れ替わる際に、登録漏れがあり、必要な情報が該当者に届いていないということが何度かあった。そこでMLに置き換わる機能を望んでいた」と述べる。

 こうした条件に基づき選定されたのが、ドリーム・アーツの企業向けポータル型グループウェア製品「INSUITE」である。2009年秋に決定し、年末にはシステム導入した。まずは試験的にIT部門で稼働を開始し、翌年4月から職員、7月から教員と、合わせて約700ユーザーを対象に段階的に導入していった。

 テスト稼働時において、主にIT部門が利用するINSUITE管理画面のユーザーインタフェースが難しく、慣れるまで時間を要したという点以外では、特に目立った問題はなかったとしている。また、職員に導入した当初は、それまで職員同士でスケジュールを共有するという文化がなかったので、「どこまで予定を入れるべきか」という問い合わせが多かったという。

 最も苦労した点が、連絡通知機能に関する部分である。お知らせ内容の重要度や通知範囲などの設定基準が職員によって異なると想定していたため、2010年初頭からIT部門が中心となり、部署横断でワーキンググループを結成、基準とマニュアルを作成した。職員を対象にシステムが稼働した後も、連絡通知を送る判断基準が各人の業務における重要度になっているケースが散見されたため、その都度、ユーザーにアドバイスして回った。その結果、次第とばらついていた基準が平準化してきたという。

あらゆる情報を1カ所に集約

 システム刷新による効果はどうか。管理面では、「あらゆる情報をINSUITEに集約することで、教職員は最初にポータルサイトを見て情報を探す行動を取るようになった」と小峰氏は説明する。例えば、職員の勤怠管理システムや教員の補助金管理システムはINSUITEにログインしてからでないとアクセスできないようにしてある。

 ユーザー側の効果については、INSUITEを活用することで、教職員に対して伝えたい情報を伝えやすくなり、送り先が閲覧したかどうかのチェックもできるようになったので、情報伝達の漏れがなくなった。他方で、飛び回る情報量が多過ぎるといった意見もあるという。しかし、「情報は受け手が取捨選択できる。以前のように情報がほとんど共有されない状況と比べると、さまざまな情報を取り込める今の方が好ましい」と小峰氏は強調する。

 加えて、システムによって情報伝達が円滑になり、スケジュール共有が可能になったことで、以前のように、職員同士のコミュニケーションや予定確認をする際、いちいち内線をかけたり、直接座席に訪れたりといった手間がなくなり、業務効率が大幅に向上したという。

 このような実績を基に、学園内での横展開も進んでいる。いわき明星大学もグループウェアのリニューアルに伴い、2011年3月にINSUITEを導入し、約250ユーザーが活用している。高校などでも導入が決定しており、今秋から約200ユーザーがINSUITEを活用する。

 今後の展開について、小峰氏は「連絡通知の運用をさらに改善していきたい」と意気込む。現在でもまだ紙ベースの連絡通知を教職員向けに行っている部署があるため、そのシステム化を推し進め、あらゆる情報が同じスピードで伝達、共有できる仕組みを構築していくとした。

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