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» 2012年10月29日 09時00分 公開

関西を世界に伍する経済エリアに IBM社長らが語る

地方でのビジネス成長に力を注ぐ日本IBMは「IBM リーダーズ・フォーラム 関西」を開催。関西エリアの経営者や有識者が集まり、産業の未来について討論した。

[伏見学,ITmedia]

関西支社設立の意義

 日本IBMは10月26日、近畿エリアの企業経営者などに向けたセミナーイベント「IBM リーダーズ・フォーラム 関西」を大阪市内のホテルで開催した。同社のマーティン・イェッター社長は「関西地域に対して日本IBMは重要な投資をしていく。全世界のIBMの知見を投入して関西を活性化したい」と意気込んだ。

日本IBMのマーティン・イェッター社長 日本IBMのマーティン・イェッター社長

 2012年5月に日本IBM社長に就任したイェッター氏は、事業戦略の1つにローカルビジネスの拡大を掲げている。7月には具体的な営業施策として、東北(仙台)、中部(名古屋)、関西(大阪)、西日本(福岡)という4つの支社を新たに開設した。今回のイベントは先月に都内で行われた75周年記念イベント「THINK Forum Japan」の地方開催版であるとともに、各主要エリアの財界とのコミュニケーション強化を図る重要な意味合いを持つ。その第1弾としてここ関西が選ばれたのだ。なお、次回は11月上旬に東北で開かれる予定である。

 オープニングの基調講演に登壇したイェッター氏は、冒頭で関西地域の経済力の高さについて「関西のGDP(国内総生産)はオーストラリア一国に匹敵する。また、日本の他地域と比べて、国外に事業展開する企業の割合が高いのも関西の特徴だ」と言及。それを踏まえた上で、「この地域がグローバル化し、日本のパワーハウスになりつつある中、日本IBMの長い歴史において正式に関西に支社を作り、これまで以上に顧客に投資していくことは大いに意義がある」と強調する。

 企業のグローバル化について、2つのアプローチがあるとイェッター氏は述べる。1つはグローバル市場へ参入すること、もう1つは、リーダーとしてビジネスそのものをグローバル化することである。この点において関西の企業は、環境や再生エネルギー、製薬などの分野で世界の中でもイノベーターであり、リーダーになっているという。

 ただし、「今後ますますグローバルにおける企業競争が過熱度を増す中、1社、あるいは1つの組織だけで戦い抜くのは難しい。地域内、あるいは日本の各地域をよりよく統合して、コラボレーションを図っていくことが肝要だ」とイェッター氏は呼び掛ける。そうした企業の取り組みをITソリューションやコンサルティングなどを通じて支援するのが日本IBMの役割だとしている。

 「関西地域が世界にとって関心の高い、経済価値のあるものにしていくために、われわれは積極的に投資していくのだ」(イェッター氏)

イノベーションの集積地として

 続いて行われた特別講演では、近畿経済産業局長の小林利典氏が関西エリアの強みについて改めて強調した。

近畿経済産業局長の小林利典氏 近畿経済産業局長の小林利典氏

 昨今、関西を拠点とする企業や研究機関などの横連携が進んでいる。その表れの1つが2011年末に政府から国際戦略総合特区の指定を受けた「関西イノベーション国際戦略総合特区」であろう。国際戦略総合特区とは、日本の経済成長のエンジンとなる産業や機能の集積拠点を形成することを目的としている。関西エリアでは、国際競争力向上のためのイノベーションプラットフォームを構築すべく、6府県市(京都府、大阪府、兵庫県、京都市、大阪市、神戸市)が共同で特に「ライフサイエンス分野」と「新エネルギー(グリーン)分野」に注力する。

「例えば、医薬品は日本企業の売り上げ全体の3割、リチウム電池は8割を関西が担っている。研究者も大勢いて、先般、iPS細胞の研究でノーベル賞を受賞した山中伸弥教授も京都大学だ。日本を代表するスーパーコンピュータ『京』も神戸にある」(小林氏)

 先述したように、関西エリアの経済パワーは世界の中でも有数の強さである。GDPは80兆円(1ドル=80円換算で約1兆ドル)で、国別順位で見ると約10位。これはスイスの2倍、デンマークの3倍に当たる。大阪府に絞るとGDPは38兆円で、ベルギー、サウジアラビア、スウェーデンと同等規模だという。「関西はある意味で“国”といえ、経済的にいえば世界地図の中で他国、他地域と比べていくべきだろう」と小林氏は述べる。

 では、グローバル市場で打ち勝つためにはどうすればいいのか。現在のグローバル競争を考えると、日本は特に東アジア諸国との競い合いが激しくなっている。現状では、価格面だけで劣るとしばしば言われているが、「10年後、20年後にも価格だけで負けているとは果たして言えるだろうか」と指摘する。そうならないためにも、自社や属する地域の強みを認識し、特区などでの取り組みを十分に生かして、世界と肩を並べる産業を育成することが不可欠なのだという。

「特区で特別なものを生み出し続けることで、それがイノベーションの基盤になっていくはずだ」(小林氏)

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