ガートナー ジャパンは、グローバルで実施するCIOを対象とした年次調査の結果を発表した。
IT調査会社のガートナー ジャパンは3月7日、CIO(最高情報責任者)を対象としたグローバルでの調査結果を発表した。IT戦略の優先度において日本と世界で大きなギャップがあることが分かった。
同調査は、世界41カ国で2053社(日本は78社)のCIOを対象に、2012年9月〜12月の期間で実施。IT予算に関して、2012年は世界でマイナス0.5%、日本でマイナス0.8%と、2010年以来の減少となった。
2013年におけるビジネス戦略の優先度について、日本は1位が「新商品や新サービスを開発する」、2位が「企業コストを削減する」、3位が「新規顧客を獲得し、維持する」だった。世界は1位が「企業成長を加速する」、2位が「オペレーションで成果を上げる」、3位が「企業コストを削減する」となった。全体的な傾向として、「海外のCIOは企業全体の戦略を重視する一方で、日本のCIOは具体的な施策へ目を向けている」と、ガートナー ジャパン エグゼクティブプログラム グループバイスプレジデントの長谷島眞時氏は同日開かれた記者説明会で解説した。
IT戦略の優先度については、日本で1位が「ITマネジメントとITガバナンスを改善する」、2位が「ビジネス部門とIT部門のリレーションシップを改善する」、3位が「IT組織とITワークフォースを改善する」となったのに対し、世界では1位が「ビジネスソリューションを提供する」、2位が「ITマネジメントとITガバナンスを改善する」、3位が「IT組織とITワークフォースを改善する」となった。なお、1位の項目をはじめ、「情報/アナリティクスの活用を拡大する」「モビリティ・ソリューションを実装する」など、世界のCIOの中で優先順位の高いものが、日本ではランク外になっていることに、大きな意識の差がある。
この理由について、ガートナー ジャパン エグゼクティブプログラム バイスプレジデント エグゼクティブパートナーの重富俊二氏は、「日本と異なり、世界のCIOは短期的に利益を上げる役割が求められており、ビジネス成長するための現実的な施策を出さなくてはならない。その傾向はリーマン・ショック以降、より顕著になっている」と強調した。
優先項目 | 日本 | 世界 |
---|---|---|
ITマネジメントとITガバナンスを改善する | 1 | 2 |
ビジネス部門とIT部門のリレーションシップを改善する | 2 | 9 |
IT組織とITワークフォース (要員) を改善する | 3 | 3 |
ITコストを削減する | 4 | 4 |
ビジネス成長をサポートする | 5 | 21 |
テクノロジ・イノベーションをサポートする | 6 | 18 |
柔軟なインフラを開発または管理する | 7 | 10 |
ビジネス・プロセスの改善を実装する | 8 | 8 |
グローバル・オペレーションをサポートする | 9 | 23 |
ITオペレーションを改善する | 10 | 15 |
2013年におけるIT戦略の優先度 |
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