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» 2013年04月01日 09時00分 UPDATE

次世代オフィスの進化論:VDI、SSL-VPN、BYODを駆使したThin Officeの全容と活用実態 (1/2)

ITサービスのクオリカは、2011年の本社移転を契機に、場所にとらわれない働き方を追求した「Thin Office」を構築した。その様子や活用実態、新たな課題などを、常務執行役員技術部長の会田雄一氏が連載で解説する。

[会田雄一(クオリカ),ITmedia]

はじめに

 2011年12月、クオリカは本社を東京の西新宿にある新築の高層ビルに移転した。この機会に私たちは、仮想デスクトップ(VDI:Virtual Desktop Infrastructure)、SSL-VPN(Secure Sockets Layer virtual private network)、BYOD(Bring Your Own Device)などの最新のICT技術や方法を取り入れ、新しいワークスタイルを実現し、生産性や仕事のスピードを継続して改善していける次世代オフィスを構築した。

 クオリカは、このオフィスを「Thin Office」と呼んでいる。従来のオフィスでは当たり前だったPCやPC上のデータ、個人用文書キャビネット、紙/書類など、次世代のオフィスでは本質的に不要になると考えられるものをオフィスから追放し、Thinになったからだ。

 オフィスにはPCを置かないことにした。社員はどうやって仕事をするのかというと、当社のデータセンターのサーバ上に構築したVDIを従来のPCの本体部分に替わる道具として使用する。

 社員は、オフィスの机や会議室に設置された専用端末(ディスプレイ、キーボード、マウス)のどれからでも、社内LAN経由でVDIに接続し、あたかも、PCが目の前にあるかのようにデータセンターの自分のデータに接続して仕事ができる。(図1参照)

qualica0101.jpg 図1:仮想デスクトップ(VDI)の概念

 また、社員が自宅のPCや、自分のモバイルPC、iPadなどを端末として利用し、インターネット経由で、データセンターのVDIにアクセスすることができるようにした。SSL-VPNなどの技術を使用し、高いセキュリティレベルを保証する。この結果、社員は自宅にいようが、外出先や出張先にいようが、オフィスにいるのと同様にVDIを使って仕事ができる。(図2参照)

qualica0102.jpg 図2:インターネット経由で個人所有機器からVDIにアクセス

 自宅や社外からVDIに接続する際に使用するPCやiPadは、BYODを活用し、原則として個人所有の機器を使用することにした。クオリカにとっても、社員にとっても、効率の良いICT機器の活用や管理ができるようになった。

 このほか、本社移転にあたり、座席のフリーアドレス化や大画面(24インチ)高精細ディスプレイVDI端末の全座席への設置(写真1)、必要な時にいつでも打合せができるコラボレーションエリアの設置、会議室やコラボレーションエリアへの大画面(42インチ)フルハイビジョンディスプレイVDI端末の設置(写真2)、ユニファイドコミュニケーションシステム(UC)の導入による自由にWeb会議が開催できる環境の導入など、オフィスの生産性を上げるためのさまざまな工夫を併せて実施した。

 移転以来、新本社に勤務する全社員420人が、1年以上にわたってこの次世代オフィス環境を活用し、生産性の改善や仕事のスピードアップを実現すべく、ワークスタイルの変革に取組み、実際に成果を挙げつつある。

 このクオリカの取り組みは、次世代オフィスのモデルとして多くの方からご評価いただいている。この次世代オフィスを見学に来られた企業や団体は昨年1年間だけで100を超えた。また、社団法人企業情報化協会からは、今年2月のIT総合大会にて、第30回IT賞特別賞(フロンティア賞)を授与していただいた。

 本連載では、クオリカがこのThin Officeの構築に取り組んだ経緯や目的、採用した方針、実際の構築にあたって課題となったこと、工夫したこと、活用の実態、今後の課題などについて、これから4回にわたって紹介したい。

 ところで、クオリカについて簡単に紹介しておきたい。クオリカは、建設機械や鉱山機械の世界的な製造業者である小松製作所の情報システム部門が独立してできた会社である。現在は、小松製作所が20%、SI業界大手のITホールディングスが80%を出資するSI企業である。社員は720人であるが、小松製作所のITを支えることで蓄積してきたノウハウや技術力を武器に、一般の製造業や流通業の顧客に事業を拡大している。

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