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» 2013年04月08日 08時00分 UPDATE

Weekly Memo:NECが投入した垂直統合型製品の「成功の方程式」

NECが先週、ハードウェアやソフトウェア、ネットワークを一体化した垂直統合型製品を発表した。発表会見から見えてきた同製品の「成功の方程式」とは――。

[松岡功,ITmedia]

ベールを脱いだNECの垂直統合型製品

 「今回の新製品は、当社が長年にわたって培ってきたシステムプラットフォーム事業の集大成となるものだ」

 NECのシステムプラットフォーム事業を統括する庄司信一執行役員常務は4月3日、同社が開いた新製品発表会見でこう力を込めた。

 新製品の名称は「NEC Solution Platforms」。同社では、サーバ、ストレージ、ソフトウェア、ネットワークなどの製品・技術と、これまでのシステム構築実績によるノウハウを、用途に応じて最適に組み合わせた垂直統合型製品と説明している。

会見に臨むNECの庄司信一執行役員常務(左)と福田公彦執行役員 会見に臨むNECの庄司信一執行役員常務(左)と福田公彦執行役員

 この新製品をめぐる動きについては、2013年1月28日掲載の本コラム「NECが打ち出す垂直統合型システムの正体」でも取り上げたが、いよいよその全容が明らかになった格好だ。

 会見で説明があったその詳細な内容については、すでに報道されているので関連記事等をご覧いただくとして、ここでは庄司氏が語った垂直統合型製品投入の狙いや競合製品との違い、さらに会見から見えてきたNEC Solution Platformsの「成功の方程式」を探ってみたい。

 庄司氏は同製品投入の狙いについてこう語った。

 「企業においては今、省力化・効率化と新しい価値の創造が大きな経営課題となっている。これらをICT投資の観点からみると、企業の情報システム部門を煩雑なICTの運用業務から解放し、ICTを攻めの経営に活用していくことが肝要となる」

 「攻めの経営に向けてはビッグデータやクラウドサービスなどの活用が有効だが、そこでICTの要件として求められるのが導入スピードの速さや低コスト、信頼性といった点だ。これらすべてに応えるために投入したのがNEC Solution Platformsである」

 また、競合製品との違いについて庄司氏は、「囲い込みではないオープン性」と「広い適用領域」の2点を挙げた。いずれもキーとなるのはパートナーとの連携で、「NEC Solution Platformsは当社の製品や技術とともに、パートナーの製品や技術も積極的に取り込み、オープンで幅広い業種業務に対応していく」としている。

 さらに、同社が得意とするPBXなどのネットワーク製品を統合したモデルを品揃えしていることも、競合製品との差別化ポイントになるという。

3つの要素からなる「成功の方程式」

 では、会見から見えてきたNEC Solution Platformsの「成功の方程式」とはどのようなものか。次の3つの要素が挙げられそうだ。

 まず1つ目は、製品力である。庄司氏が語った製品投入の狙いや各種用途への対応において、他社製品に比べてどれだけ競争力があるかが問われる。各種用途への対応については、今回第1弾ながらもデータベース、アプリケーション、クラウドサービス向けに合計10モデルを用意。垂直統合型製品の本格投入という意味では後発となるが、その分、競合製品を分析した上で周到に準備してきた感がある。あとは実際にユーザーやパートナーに受け入れられるかどうかだ。

 2つ目は、販売力である。とりわけ、国内で550社を数える販売パートナーとの連携が鍵を握る。そのため、NECでは販売パートナーのアプリケーションと同社のハードウェアを組み合わせた新モデルの検証作業などを支援する部署を設けたり、パートナーのアプリケーションを同社の工場でインストールして出荷するサービスを提供するという。こうした支援体制もさることながら、決め手になるのは販売パートナーが担ぎたいと思うビジネスモデルを構築できるかどうかだろう。

 そして3つ目は、顧客満足を得ることである。まずはNECの既存のシステムプラットフォームユーザーに新たなICT投資として受け入れられ、認められることから始まる。さらに新規顧客を広げるためにも、庄司氏が製品投入の狙いとして語った「省力化・効率化と新しい価値の創造」という経営課題をどれだけ解決できるかが最も重要なポイントとなる。それを実証してみせるためにも、同社としては導入成功事例を積み上げていきたいところだ。

 以上の3つの要素がNEC Solution Platformsの「成功の方程式」とみられるが、これらは取りも直さず、競合製品にも当てはまることである。

 ただ1つ気になるのは、こうしたレディーメイドの垂直統合型製品が普及すれば、NECのようなシステムベンダーにとっては自らの屋台骨の1つでもあるSI事業の縮小につながらないかということだ。会見でこの点を問われた庄司氏は次のように答えた。

 「むしろ逆で、SIの仕事はますます増えると考えている。というのは、これまで1案件にかかっていたSIの手間や費用を垂直統合型製品で大幅に効率化できるので、今後はより多くの顧客に対してSIを展開していけるようになるからだ。それがつまりは、より多くの企業における経営課題の解消につながると確信している」

 確かに、垂直統合型製品にはそうしたポテンシャルがありそうだ。ただ、ICT業界にとっては大きな事業構造の変化ともいえる。今回のNECの発表で、有力システムベンダー各社からの垂直統合型製品が出揃った。ICT市場が新たなステージに入ったことだけは間違いなさそうだ。

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