ネットワークの進化は止まらない 20年目を迎えたInteropInterop Tokyo 2013 Report(1/2 ページ)

今年も開幕したInterop Tokyo。SDNやクラウド連携、ネットワークの最適化など、さまざまな観点からのネットワークの新ソリューションが多数出展されている。

» 2013年06月13日 07時00分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 国内最大規模のネットワーク技術の展示会「Interop Tokyo 2013」が6月12日、千葉県の幕張メッセで開幕した。併催イベントの「IMC Tokyo」や「デジタルサイネージジャパン」などを含めて388社(前年比8社減)が出展。15日までの3日間で約13万人の来場が見込まれている。

 Interop Tokyoは今年で20周年を迎えた。ここ数年の展示内容を振り返ると、東日本大震災に見舞われた2011年は省エネ関連、2012年はSDN(Software Defined Networking)におけるOpenFlow関連の新技術が目立った。今年もSDNが中心となるが、クラウド関連や企業のネットワーク環境の最適化を支援するソリューションの出展も多い。主要な出展社の注目展示をレポートする。

NEC

ProgrammableFlow製品のデモ

 NECは、最新版のOpneFlow 1.3に対応する「ProgrammableFlow Controller」シリーズのUNIVERGE PF6800およびスイッチ「UNIVERGE PF5459」によるMACマッピング機能をデモストレーションしている。ネットワークに接続する端末のMACアドレスを認識し、その端末が登録されている仮想テナントのネットワークに自動的に割り当てるというものだ。

 同機能は、ProgrammableFlow製品の先行ユーザーである金沢大学付属病院での利用実績を踏まえて開発されてものという。病院内では多数のさまざまな医療機器がネットワークに接続されると同時に、その利用場所が頻繁に変更される。移動先で機器を操作する担当者がどのポートに接続して良いか分からないというケースがあり、MACマッピング機能で病院内のネットワークに接続すれば、こうした手間を解決できるメリットがあるという。

 このほか、同社製品とIBM、ブロケード、デルなどベンダー各社の製品をOpneFlow 1.3で相互に接続する検証も会場内で行われている。

日本HP

HPネットワーク事業担当幹部のバニック氏

 日本ヒューレットパッカードは、多数のOpenFlow対応スイッチ製品を披露するとともに、同社のクラウド戦略におけるSDNでの取り組みを紹介している。同社のスイッチ製品ではファームウェアアップデートを通じてOpenFlow 1.0に無償で対応させることができ、対応機種は同日までに29機種に拡大するなど、業界最多規模になっている。また最新のOpenFlow 1.3に関しても、HP 5900AFシリーズのスイッチとNECやイクシアコミュニケーションズのコントローラを相互接続させるデモンストレーションを行っている。

 Interop基調講演のゲストスピーカーとして来日した米HP ネットワーキング グローバルマーケティングVP、マイク・バニック氏は、「2013年上期までに40のスイッチ製品で2000万以上のポートをSDNに対応させる。2016年までにエンタープライズ環境においてSDNが普及するように、製品やアプリケーション、APIのリリース、検証環境の提供などを図っていく」と説明した。

ブロケード

 ブロケードは、データセンター間を跨いだアプリケーションデリバリーにおける負荷分散の新ソリューションを展示している。このソリューションは、「Brocade ADX ARB(アプリケーションリソースブローカー)」がアプリケーションの負荷を検知すると、ARBからVMware vCenterにこれを通知してクラウドバースティングを実行、外部のデータセンターで追加された仮想マシンにおけるロードバランシングをBrocade ADX 1000コントローラで行うというもの。負荷が低下すれば、ARBがこれに応じてバーストしたリソースを削除する。

 このソリューションは、ARBの最新版(バージョン2.5)から可能になり、複数のデータセンターに跨るアプリケーションのパフォーマンスの最適化を図ることができるという。想定される利用アプリケーションはWebなどだが、同社ではさまざまアプリケーションに適用可能としており、このソリューションをパッケージとして提供できる点に強みがあるとしている。

クラウドバースティングでのロードバランシングに対応するADX 1000

A10ネットワークス

 A10ネットワークスは、アプリケーションデリバリーコントローラのフラグシップモデルに位置付ける「Thunder 6430」を出展。これまで「AXシリーズ」の名称で提供してきたアプリケーションデリバリーコントローラの最新モデルとなる。

 Thunder 6430は1Uサイズで150Gbpsのアプリケーションスループットを実現しており、4つの40Gビットポートや「FTA3」というセキュリティ対策専用のASICも搭載する。ブース内では5台のThunder 6430を接続し、毎秒2億ものシンフラッドを発生させてのDDoS攻撃を防御しながら、最大750Gbpsのスループットを実現している様子をデモンストレーションしていた。

国内でも恐らく稀(まれ)な750Gbpsのスループットを実演

ジュニパーネットワークス

 ジュニパーネットワークスは、SDNの円滑な導入を支援するとした多くのソリューションを出展。ネットワークのプロビジョニング、管理、オーケストレーションといったデータセンターにおけるネットワーク運用でのさまざまなシーンを自動化することで、これを可能にしていくというアプローチである。構成管理ソフトウェアのPuppetをJuons OSに統合したほか、各種製品でのOpenStackとの統合化も図られている。ブースではこれらソリューションに対応する新製品として、プログラマブルコアスイッチの「EX9200」シリーズを出展した。

スロット当たり最大240GbpsをサポートするEX9200スイッチ

F5 Networks

VMwareのコンソールからShownetなどの同社製品に設定を適用する様子

 F5ネットワークスジャパンは、アプリケーションデリバリーやネットワーク管理の「BIG-IP」「BIG-IQ」およびVMware vCloud Directorとの初連携によるデモンストレーションを披露した。デモでは同社ブースと会場内のShownet(Interop会場専用のネットワークセンター)をVXLANのオーバレイによる仮想ネットワークで接続、vCenterのコンソールからBIG-IQおよびBIG-IPを通じてロードバランシングなどが行えるなど、SDN上で同社のアプリケーションデリバリーソリューションを容易に利用できる様子を紹介している。

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