「ビッグデータという呼び方は嫌いだ」とTeradataのブロブストCTOTeradata PARTNERS 2013 Report(1/2 ページ)

テキサス州ダラスの「Teradata PARTNERS 2013」でスティーブン・ブロブストCTOに話を聞いた。データウェアハウスと分析基盤のリーダーでCTOを務める彼は、「ビッグデータという呼び方は誤解を招くので嫌いだ。単にボリュームだけでなく、構造の多様さや構造の変化に着目すべきだ」と話す。

» 2013年10月23日 09時00分 公開
[浅井英二,ITmedia]
Teradataのスティーブン・ブロブストCTO

 「ビッグデータという呼び方は嫌いだ」── そう話すのは、データウェアハウス構築と分析プラットフォームのリーダー、TeradataでCTOを務めるスティーブン・ブロブスト氏だ。

 今週、Teradataユーザーグループの年次カンファレンス、「Teradata PARTNERS 2013」が、「データが持つパワーの解放」をテーマに掲げ、テキサス州ダラスで開催されている。

 Teradataは約30年前、並列処理型のリレーショナルデータベースを世に問い、あらゆる処理を並列で行おうとするアーキテクチャーはいまだに他社の追従を許さない。世界の名だたる企業がTeradataで大規模なデータウェアハウスを構築し、意思決定支援に役立てている。「ビッグデータ」という呼び方の好き嫌いは別として、並列処理に長けた同社は、膨大かつ多様なデータへの対応もいち早く手を打ってきた。

 同社は2008年、ペタバイト級のデータを格納、分析できる大容量データ分析専用のアプライアンス、「Extreme Data Appliance」シリーズを製品ラインに加えた。今回のPARTNERSでは、500ペタバイト以上を格納・分析できる最新の「Extreme Data Appliance 1700」を発表、テラバイト当たりのコストは2000ドルに抑え、増え続けるデータに頭を悩ませるCIOらの期待に応えようとしている。

 「情報システムの扱うデータが、トランザクションからインタラクションへと拡大している。だれがどの商品を買ったのかだけでなく、もっと深く顧客を理解したいと企業が考えたからだ。従来の業務アプリケーションだけでなく、ソーシャルメディアやセンサーデータも新しいソースとして扱い始めることで企業のデータはより奥深く、そして多様化している。これがビッグデータだ。もはや呼び名の好き嫌いは言っていらなれない」(ブロブスト氏)

着目すべきはビッグデータの多様さと構造の変化

 「ビッグデータを単に“ボリューム”と考えると見誤る。その構造の多様さや構造の変化に着目すべきだ」とブロブスト氏が機会をとらえて指摘してきたように、Teradataはボリュームだけでなく、多様化するデータへの対応も怠らない。

 2011年には、Webのアクセスログやテキストデータといった膨大な多構造化データの分析を得意とするAster Data Systemsを買収し、さらに昨年のPARTNERSでは、Hadoopを統合した業界初のビッグデータアプライアンス、「Teradata Aster Big Analytics Appliance」も発表した。

 Teradataデータベースが大規模なデータウェアハウスの構築を得意としているのは言うまでもないが、ノイズばかりで価値あるデータがごくわずかなビッグデータでは異なる経済性が求められる。業界は一斉にオープンソースのHadoopをもてはやすが、ブロブスト氏はその落とし穴を指摘するのも忘れない。

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