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» 2014年01月24日 08時00分 UPDATE

NECが新データセンターを始動 “業界最安クラス”を目指した独自システムを見てきた

NECは、同社の主要技術を結集したという「NEC神奈川データセンター」の運用を開始する。クラウド向けに開発された高密度サーバや独自の冷却システム、ネットワーク仮想化技術などで高効率化が図られている。

[本宮学,ITmedia]
photo NEC神奈川データセンターの外観イメージ(保安上の理由から実際の外観は非公開)

 NECは1月23日、クラウドサービスとハウジングサービスの新拠点として27日に開設する「NEC神奈川データセンター」の内部を報道向けに公開した。クラウド向けに新開発した高密度サーバや独自の冷却システム、ネットワーク仮想化技術など「NECの主要技術を結集したフラッグシップのデータセンター」(同社)となっている。

 NEC神奈川データセンターは、同社のデータセンターとしては国内59拠点目となる。都心から電車で約1時間程度でアクセスできる場所にあり、建屋の延べ床面積は約2万平方メートル。サーバルームは最大1万平方メートルまで拡張でき、満床時で約3000ラックの収容が可能だ。

photo スライドパネルとコイルバネ、オイルダンパー(写真)の3層構造で免震を行う

 自然災害対策として、海岸から30キロ以上、活断層から9キロ以上離れた場所に建設。さらに建屋全体を耐震構造とし、サーバルームにも床下のオイルダンパーなど3層の免震構造を施している。これにより最大500ガル(地震加速度の単位)の揺れを200ガル以下に抑制でき、震度6強程度までならシステムを止めずに運転を続けられるという。停電時における72時間連続の自家発電設備も備えている。

 27日の開設当初はハウジングサービスのみを提供し、4月からは新クラウド基盤サービス「NEC Cloud IaaS」の提供基盤としても活用する予定。各サービスのサーバルームは別々に設けられているが、データセンター全体でネットワーク仮想化が施されているため、クラウドとハウジング間のシステム連携/移行は容易に行えるという。

「世界一の精度」を誇る顔認証システムを採用

 入館ゲートやサーバルームなどには、生体認証やICカード認証、共連れ防止のサークルゲートなどを完備。ユニークなのは、同社が「世界一の精度」とする顔検出・顔照合エンジン「NeoFace」を利用している点だ。入館者はまずデータセンター入口のブースで顔とICカードのひも付けを行い、その後ICカードを使ってサークルゲートを通る。その際に顔検出も同時に行われ、登録してあるICカードと顔が一致した場合のみ入場できる仕組みになっている。

photophoto 顔認証登録ブース(左)、サークルゲート+顔認証

 また入館時には、空港などでも用いられている金属探知ゲートによってカメラや録音機器などの持ち込みを禁止。常時の有人監視も行っている。加えて、NECのセキュリティ専門組織と連携しての館内監視やサイバー攻撃対策も行っている。

高密度サーバや独自の冷却システムで省電力化を追求

 新データセンターの最大の特徴は、同社の独自技術などを用いて大幅な省電力化が図られていることだ。満床時の電力使用効率(Power Usage Effectiveness:PUE)は設計値で1.26となっている。

 クラウド基盤のサーバとして、低消費電力CPUを使って新開発した省電力・高集積サーバを採用。1ラック当たり700基のサーバモジュールを収容でき、従来の同社製ブレードサーバを使う場合と比べて消費電力と設置スペースを約4分の1に削減したという。

photo 新開発の高集積サーバ。1つのラックにシャーシ16台を格納でき、シャーシ1つにつき44基のサーバモジュールを収容する
photo 相変化冷却システム

 また、同サーバの冷却には「相変化冷却方式」に基づく独自システムを採用。気化熱(液体が気化する際に熱を奪う原理)を活用してマシンを冷やすラジエーター状の装置を用いることで、従来の水冷システムで必要だった冷水循環ポンプを不要とし、消費電力をさらに約30%引き下げたとしている。

 空調方式も工夫している。一般的なデータセンターの多くは床下から冷気を吹き上げる方式を用いているが、機器の配線から熱の影響を受けやすい問題があった。新データセンターでは二重構造の天井を使った上部空調システムを採用。冷気を天井から吹き下ろし、サーバルーム内で温まった空気を再び天井に上げて冷やすことで、従来の床下方式と比べて消費電力を約20%削減したという。

photo 天井からの空調方式を採用
photo 館内のオペレーションルームでは24時間体制でマシンを有人監視している

低コスト化で「業界最安クラス」のクラウドを提供へ

photo 橋谷氏

 これらの省電力化に加え、新データセンターではネットワーク仮想化を通じてネットワーク機器の導入・運用コストを抑えたほか、運用自動化システムの活用で運用管理コストも抑制している。一連の低コスト化を通じて「業界最安クラスのクラウドを提供していく」と同社の橋谷直樹理事(サービスデリバリ事業部担当 C&Cクラウド基盤戦略本部担当 SDN戦略本部担当)は意気込む。

 また、ハウジングサービスの価格も「首都圏で最も低いラインを考えている」という。サービス開始前にすでにサーバルーム全体の1割ほどに対して商談が進んでいるといい、今後約5年で満床になると見込んでいる。

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