NECが新IaaSサービスを展開、マルチクラウド需要の取り込み狙う

現行の「RIACUBE」サービスの後継という「NEC Cloud IaaS」を2014年春に立ちあげる。他社IaaSやオンプレミスを含む統合型運用サービスが特徴としている。

» 2013年09月12日 16時15分 公開
[國谷武史,ITmedia]
サービスイメージ

 NECは9月12日、新たなクラウドサービス「NEC Cloud IaaS」を2014年4月に開始すると発表した。同サービスの提供元となるデータセンターを神奈川県内に新設。他社のIaaSサービスやオンプレミス環境を含めた統合型運用サービスを特徴としている。

 NEC Cloud IaaSでは「スタンダード(STD)」と「ハイアベラビリティ(HA)」の2つのメニューを提供する。STDはWebサイト運営など負荷変動の大きな利用形態を対象に、月額6700円からの利用料金を設定。HAでは基幹業務などの高信頼・高性能が求められる用途を対象に、同1万900円からの料金を設定している。同じデータセンターでサービスを提供することから、両メニューを使い分けたり、組み合わせたりといったことが容易にできるという。例えば、ECサイトのフロント業務にSTD、決済や受発注、管理データベースにはHAを使うといった利用シーンが想定されている。

サービスメニューの内容(右)と利用イメージ

 両メニュー共通で利用可能なユーザー向けのセルフサービスポータルも提供する。サーバやストレージ、ネットワークのプロビジョニングや構成管理、運用監視などが行え、同サービスだけでなく、他社のIaaSサービスで構築しているシステムやユーザー企業内のシステムの運用管理もできる。全てのシステムの運用を同社が代行するサービスも提供するほか、当社がセキュリティ監視とインシデント対応を行うセキュリティサービスも用意している。

 NEC Cloud IaaSの提供基盤となる新設の「NEC 神奈川データセンター」が2014年1月に竣工する予定で、建設が進められている。都心から電車で1時間ほど離れた内陸にあり、河川の浸水想定区域からも外れているという。最先端の空調設備により、PUE値は1.26を計画。停電時における72時間連続の自家発電設備も備える。最終的に3000ラック規模になる見込みだという。

新設する「NEC 神奈川データセンター」

 同日会見した執行役員の中江靖之氏によると、NEC Cloud IaaSは2008年から提供しているIaaSサービス「RIACUBE」の後継サービスという位置付けで、RIACUBEは今後も継続提供する。また、サービス形態としてはパブリック型ではなくプライベート型に近いものになるとい、グループ企業のNECビッグローブが提供しているパブリックIaaSとすみ分けを図っているという。

 また、STDではソフトウェア基盤にOpenStackなどを採用し、サーバには同社が開発した「多段式高効率冷却技術」を適用する新製品(開発中)を利用することで、パブリックIaaSサービスに匹敵する低価格を実現するという。データセンターのネットワークにはSDNを全面的に採用することから、STDとHAの容易な組み合わせ利用などが実現できたとしている。

 サービス開始後の計画では2014年度下期にPaaSやディザスタリカバリ、グローバルICT基盤などのメニューを追加する。2016年にはリージョン展開にも着手し、2017年度時点で年間1200億円の売り上げを見込んでいる。

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